2005年10月2日(日)「しんぶん赤旗」
アルジェリアで国民投票
「和解憲章」を承認
【パリ=浅田信幸】アルジェリアで九月二十九日、死者十五万人を出したといわれる内戦状態に終止符を打つことを目的とした「平和と国民和解のための憲章」の是非を問う国民投票が実施されました。アルジェリアからの報道によると、ゼルフーニ内相は三十日、97・36%の圧倒的な支持で承認されたと発表しました。投票率は77・49%でした。
「和解憲章」は、ブーテフリカ大統領が一九九八年の就任以来進めてきた国民融和を定着させるために打ち出したもので、服役中のイスラム過激派や武装闘争を放棄する者への恩赦などが含まれています。
ただ、大規模な虐殺事件やレイプ、公共機関を狙った爆弾攻撃に加わった者は恩赦の対象から外されています。また、「テロ対策」の名で作戦を展開し多数の行方不明者を出した政府の責任は問われていません。
国民投票での高投票率と圧倒的な支持は、内戦状態にともなう抑圧体制と生活苦から脱したいという国民の期待の強さを示すものになりました。
その一方で、野党の社会主義勢力戦線(FFS)や文化民主連合(RCD)、人権擁護団体、内戦でいわれなき犠牲者を出した遺族らは、「許しの前に真実と正義」を求め、ボイコットを呼びかけました。
アルジェリアでは九一年末の総選挙でイスラム救国戦線(FIS)が八割以上の議席を獲得したのに対し、軍部が九二年二月、最高国家評議会を創設して実権を握り、総選挙を無効としてFISを非合法化。この直後からイスラム過激派によるテロが広がり、事実上の内戦に突入しました。
内戦による死者は必ずしもイスラム過激派や軍人でなく、多数は一般の市民であり、行方不明者も六千人から一万八千人になるといわれます。