2005年10月1日(土)「しんぶん赤旗」

ワールドリポート

左翼党躍進支えた運動

毎月曜30数都市でデモ

ドイツ総選挙


■貧しい人貧しくする「改革」だめ

 ドイツの総選挙で大幅に議席を伸ばした左翼党(民主的社会主義党〈PDS〉から党名変更)。躍進を支えた力には、弱いものいじめの「改革」反対運動、月曜デモがあります。毎週月曜にデモが続く都市は、分かっているだけでも三十数都市。その一つシュテンダル市を訪ねました。(ザクセン・アンハルト州シュテンダル=片岡正明)

 「人々はシュレーダー首相の『改革』政策に反対の声を上げました。病弱な人、失業者、年金生活者、母子家庭、生活保護を受けている人、貧しい人は連邦議会に自分の利益を代表する会派を持ったのです」

 シュテンダル市の月曜デモの代表者、ハインツイェルグ・フォイヤーシュッツさん(58)の訴えに歓声が沸きました。

■国民の負担増え

 ドイツ連邦議会選挙の翌日、九月十九日、市役所前マルクト広場はにぎやかでした。第五十七回の月曜デモで左翼党の躍進が報告されていたのです。参加者は七十人ほど。二十歳の青年から七十五歳の年金生活者まで、三分の一は女性です。

 音楽も奏でられ、活気にあふれる中で、参加者は「弱いものいじめ『改革』がなくなるまでデモを続けるぞ」と叫びました。

 月曜デモは昨年七月末から全国に広まりました。シュレーダー政権の進める労働市場政策「ハルツ改革」と社会経済改革「アジェンダ二〇一〇」が国民に痛みを押し付ける否定的な面を持っていたからです。

 「改革」で失業保険給付期間は最大三十二カ月から十二カ月に短縮(二〇〇六年から)され、失業保険給付の切れた後に出ていた失業扶助金の額も削減されました。

 医療機関での窓口本人負担の導入(三カ月に一回十ユーロ<一ユーロ=百三十七円>)や処方せんでの眼鏡も有料化(子どもは無料維持)、年金凍結など多くの分野で国民の負担が増えました。

 月曜デモは国民の不満が噴出したかたちで広まり、昨年夏から秋には一度に二百都市以上、毎週約十万人もの参加者が集まりました。

 シュテンダル市は失業率22%、旧東独の中でも失業者の多い都市です。フォイヤーシュッツさんも失業扶助を受給しています。二〇〇四年九月から失業保険給付から切り替わりました。

 今の受給額は家賃補助などを含め四百六十三ユーロ。早めに年金生活に入った奥さんの年金とあわせてもそれだけでは生活ができず、毎月貯金から二百ユーロほどを取り崩す生活を送っています。

 フォイヤーシュッツさんは「東独のころは地質調査員として天然ガス会社で働いていました。ドイツ統一後に会社がつぶれ、その後七回も仕事を変えましたが、今は仕事場がなく応募してみても採ってくれません」と嘆きます。

■弱者の代表送る

 今年、すでに二十七回、求職に応募しましたが、いずれも就職できませんでした。「わずか五十ユーロで一カ月、食費をまかなう仲間もいます。貧しい人をさらに貧しくする政策はだめです。賃金や最低生活保障を引き上げれば消費も増え経済も活発になるはずです」

 同じザクセン・アンハルト州アッシャーズレーベンでは、月曜デモを続けていた失業者で二児を育てるシングルマザーのエルケ・ラインケさん(47)が比例代表で連邦議会議員に当選しました。

 ラインケさんは公共第一テレビのニュース電子版のインタビューで「電気技師だった私は十五年間失業者でした。たった三百三十一ユーロの失業扶助での子育てでは、子どもにまで貧しさのしわ寄せが及びます。新しい服も、学校の旅行も、スポーツクラブも子どもにしてやれませんでした。この法律『ハルツ改革四』をなくすために全力を尽くします」と決意を語っています。

 弱者のやむにやまれぬ地道な抗議行動が代表者の声を国会に送り出したのです。


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