2005年9月26日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

台風被害

日本共産党が救援活動


 秋は、台風襲来に日本全土が緊張するシーズン。毎年繰り返される襲来に、日本共産党は住民の声に耳を傾け、「災害に強い町づくりを」と議会の内外で奮闘しています。今月はじめ、台風14号による土砂崩れに見舞われた鹿児島と都市型水害の東京から、日本共産党の救援活動を紹介します。

■土砂崩れ 鹿児島・垂水

■水確保、ゴミ・被災家屋撤去…

■行政とともに問題解決へ

 鹿児島湾をはさんで鹿児島市と向かい合う垂水市は、山間部が多く平地が狭い地形で、海岸線が三十七キロにおよぶ縦長の町になっています。

 人口は一万九千百人、世帯数は約八千世帯で、温暖な気候を生かした農業では生産量日本一を誇るインゲンがあり、漁業ではカンパチ、ブリの養殖が盛んです。産業面では近年脚光をあびている飲む温泉水で地域経済の振興を図っています。

■5人が死亡、被害30億円超

 台風14号は、秋作の準備に忙しい垂水市を襲いました。九州西岸を自転車並みの遅い速度で北上した台風は、大型で勢力が大変強く、長時間にわたって大雨と強風の中にさらされました。市の四日の降水量は三六ミリ、時間雨量も八ミリでしたが、五日になると降水量が十倍の三五九ミリ、時間雨量も二七ミリとなり、災害が集中した六日も二四三ミリの雨が朝から降り続きました。

 この記録的な豪雨によって各地で土砂崩れが相次ぎ、五人が生き埋めで死亡。十四日現在で県がまとめたところによると、市の被害は家屋の全半壊五十九棟、同じく一部破損百九十七棟、床上・床下浸水百六十五棟。インゲン、水稲などの農作物被害一億六千万円、カンパチなどの漁業被害二億五千八十万円など総額三十億円を超す甚大な被害をもたらしました。

 この災害に、私たちは住民の命最優先で救援活動に全力をあげました。とくに、救済活動では行政とともに問題解決にあたり、被災者の要求をつかみ即座に行政に伝え、対応を求める方針で臨みました。飲料水の確保や炊き出し、浸水家屋からのごみや土砂撤去、解体家屋の撤去の人的支援など被災者の声を聞き、七、九、十二、二十日と市に申し入れました。台風直後の八日には、田村貴昭衆院比例候補、松崎真琴県議と私は水迫順一市長を見舞い、要望を聞き、その解決と災害救助法適用へ全力を尽くすと激励しました。

 垂水市は、多量の雨を含むと崩壊する火山灰地層(シラス)が多く、災害が起こりやすい地形です。急傾斜地危険個所八十五、地滑り危険個所五が指定され、山地災害危険地区として土石流地危険個所八十三、山腹崩壊危険地区九十六を抱えています。市内の千八百世帯がこの危険個所と隣り合わせで日常生活を営んでおり、特に高齢者が多いのが特徴です。

■対策の問題点市議会で指摘

 市は過去にも大きな災害を経験しており、私は六月議会で地域防災対策問題を取り上げ、特に昨年からの災害から教訓などを学び、地域防災計画を実効性のあるものにしていく問題点についてただしたところでした。

 今回の災害は「災害に強い街づくり」に大きな教訓を残しました。防災施設の整備とともに、生命をまもるための避難対策など防災体制の強化が求められます。とくに避難勧告などの判断や伝達、避難対策では高齢者など災害弱者の問題をあらためて取り組む必要があります。

 さらに、被災者生活再建支援法など初めて経験する法律もあり、市職員は学びながら対応しています。日本共産党としては、この間の各地での豊富な経験や蓄積されている資料を提供し、職員からも「助かる」と喜ばれています。本当の救済はこれからです。「被災者の最後の一人まで救済を」と実態に促した対応と解決を求めて取り組んでいきます。

 (持留良一・垂水市議)


■都市型水害 東京・中野区

■都議、区議先頭に救助や片付け

■総合的治水対策促進こそ

 総選挙さなかの四日夜、私は応援の候補者カーを降りた直後、雷とともにどしゃ降りの雨に見舞われました。水害の危険地域を回らなければと、中野区鷺宮の自宅でカッパに着替えていたらトイレから下水が逆流して床一面が水浸しになりました。応急措置をとって水害常襲の地域に向かおうとしましたが、自宅周辺がすでにひざ上まで浸水。車四台が水没した半地下駐車場や、地下室が水没した家などに消防団に応援を頼み、夜中三時半すぎまで水をポンプアップして流しました。

 日本共産党中野区議団は深夜まで救援活動にあたり、翌日も全員が候補者カーに乗る予定を変更して救援活動にあたりました。お見舞いに回りながら使えなくなった畳や家具などの運び出しや区などへの連絡におわれました。

■時間雨量112ミリ広範囲に浸水

 一時間の最大雨量一一二ミリにおよんだ同日の全都の被害は、床上浸水二千三百八十六棟、床下その他の浸水二千百九十一棟と未曽有の集中豪雨になりました。

 中野区では、妙正寺川など三つの河川流域に避難勧告が出され、地域センターなどに一時五十人近く避難しました。全域がいっ水した妙正寺川では護岸が二カ所で約三十メートルも決壊し、周辺の住宅が危険にさらされました。神田川も巨大な地下調節池(長さ四・五キロ、貯留量五十四万トン)ができて、「もう水害は大丈夫」といわれながら、内水(下水の水)とあわせて広範囲に浸水しました。

 完成したばかりの建具と工作機械がどろ水につかった工務店の主人は「機械が全部使えない。都の河川工事に問題があるのでは」と支援を求めてきました。翌朝見回ったら、「水害の為9月5日をもって閉店とさせていただきます」と張り紙していた地下のスナック。ことし二度目の被害にあった住民は、消毒に回ってきた区の職員に、「対応が遅い」と怒りをぶつけていました。

■開発優先でおきた人災

 都市型水害といわれる近年の水害は、大雨前線や今回の台風の影響のほかに、ヒートアイランド現象で局所的な上昇気流による積乱雲が発生し、短時間に百数十ミリもの集中豪雨が降って予想を超える被害を生みます。大規模開発優先の都市政策によってコンクリートだらけの街にされ、ヒートアイランドを生み、地盤が雨水をのみ込まなくなったのです。

 そのうえ、東京都の河川改修は進ちょく率60%と大幅に遅れており、しかも五〇ミリの雨量にしか対応できません。雨を土壌にしみこます雨水地下浸透桝(ます)の整備も二年前に中止してしまいました。緑地や環境、水害対策をなおざりにしてきた都市政策がつくりだした人災なのです。

 日本共産党は大規模開発優先の姿勢を改め、災害に強い街づくりをと一貫して提案してきました。河川改修の促進や公園などに調節池を整備すると同時に、雨水を土壌に涵養(かんよう)する雨水地下浸透トレンチ管や桝を道路や運動場、宅地に整備する、下水道を集中的に整備するなどの総合的治水計画が必要です。

 党中野区議団は六日に中野区長に緊急対策を申し入れ、十二日には大山とも子都議と私が東京都に問題点の解明と具体的対策を求めました。今後も水害や震災対策など災害に強い街づくりに力を尽くしていきます。

(植木こうじ・東京都議)


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