2005年9月22日(木)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ

(大要)


 二十一日の日本共産党国会議員団総会での志位和夫委員長のあいさつ(大要)は次の通りです。


 国会召集にあたりごあいさつを申しあげます。

 まず総選挙で、全国から寄せられた多くのみなさんからのご支援に、この場をお借りして心からお礼を申しあげるものです。またみなさんの大奮闘にも心からの敬意をのべるものです。

 そして、笠井亮議員を新しくわが議員団に迎えました。ともに歓迎の拍手をおくりたいと思います。(拍手)

■響いた「たしかな野党」の訴え――国政選挙での本格的な前進への土台築く

 この選挙は、小泉首相の奇襲攻撃で始まり、「小泉突風」が吹き荒れるという、なかなか難しい条件のもとでのたたかいでした。私たちはただちにたたかう構えを確立し、真っ向から立ち向かい、現有議席を確保しました。比例代表で得票を三十三万票伸ばし、四百九十二万票を獲得しました。この結果は、全体として善戦・健闘といっていい成果だと考えます。

 この成果は、二つの力があわさった結果だと思います。

 一つは論戦の力です。今度の選挙で私たちは、「たしかな野党が必要です」と訴えましたが、この訴えは、いまの政治情勢のもとでの日本共産党の役割を端的にしめす訴えとして、多くの有権者のみなさんの心に響いたと思います。

 いま一つは、草の根の力です。超短期のたたかいで全党・後援会員のみなさんが、それこそ「今度こそ勝ちたい」という思いで、心を一つに決起しました。私たちは、自力で“風”をおこし、四百九十二万票の支持を積み上げたわけで、この奮闘は、わが党ならではのすばらしいものだったと思います。

 この結果を、わが党の今後の国政選挙における本格的な前進・躍進につながる土台を築き上げたものとして、確信をもってつかんで、今後のたたかいにのぞもうではないかということを、まず冒頭にのべたいと思います。(拍手)

■小選挙区制による“虚構の圧倒的多数”――「郵政」で賛否は相半ば

 選挙結果で「自民圧勝」といわれますが、私は、ここには二つの深い矛盾があることを、冷静にとらえて、今後のたたかいにのぞむことが大切であると強調したいと思います。

 一つは、自民・公明が得票では、小選挙区で49%を占めたにすぎないという事実です。議席では三分の二以上を獲得したわけですが、得票は半分しか得ていない。この事実をしっかりおさえることが大事であります。

 一昨日の「東京」社説はつぎのようにのべました。「自公合わせても小選挙区で五割を切り、比例ですら五割そこそこ。この事実を勝者も敗者も銘記すべしです」「圧勝を圧倒的支持と思ったら大間違いです」「国民の支持率よりもはるかに水ぶくれした三分の二勢力と強腰の首相が、国民支持を錯覚して独裁に陥らないことを願わずにいられません」(十九日付)

 ここには今度の選挙結果についての冷静なとらえ方があると思います。議席での圧倒的多数というのは、小選挙区制によってつくられた“虚構の圧倒的多数”だということをしっかりとらえて、正面から立ち向かう必要があります。

 首相は、郵政民営化の問題について、「郵政民営化は圧倒的多数の国民の信任を得た」として、短期間に法案を強行しようとしていますが、いまのべたように国民のなかでは賛否相半ばしているというのが実態です。しかも首相は、真実を国民に語りませんでした。

 郵政事業は独立採算で一円の税金も使っていないこと、郵政公社はもうけの半分を国に国庫納付金として納めるしくみになっていることを一切語らず、民営化が国の財政に貢献するかのようなウソを最後まで言い続けて選挙戦をやりすごしたわけであります。

 ですから、国民も釈然としない思いを抱いている。そういう世論調査の結果が出ています。選挙後の共同通信の調査では法案について「慎重に審議すべきだ」と答えた人が53%で、「特別国会で成立させるべきだ」の37%を大きく上回ります。ですから、“もう民意は下った”と、“圧倒的多数の信任を得た”ということを前提にして、まともな審議なしのごり押しは絶対に許されないという立場で、私たちは立ちはだかっていきたいと思います。

 わが党は論戦を通じて、首相が選挙で語らなかった真実を、国民の前で明らかにしていきます。そしてこの問題の本質が、日本とアメリカの財界の要求からはじまったものであって、そのために国民へのサービスを犠牲にするものであるということを、さらに突っ込んでえぐっていきたいと思います。

 徹底審議を通じて、郵政民営化法案を廃案に追い込むために力を合わせて頑張りたい、この決意をかためようではありませんか。(拍手)

■首相は「郵政」以外何も語らなかった――増税、改憲、国民は白紙委任を与えていない

 もう一つの深い矛盾というのは、今度の選挙で小泉首相が、郵政問題以外は、何も語らなかったということです。増税の問題も、改憲の問題も、何も語りませんでした。ですから国民はこれらの問題で白紙委任状を渡したわけでは決してない。このことはマスコミも選挙が終わってそれぞれ強調していることであります。

 ところが、選挙後の与党の動きを見ますと、そのことをまったく無視したかのような動きが、あいついでいます。

 まず増税の問題ですが、谷垣財務大臣は開票翌々日の記者会見で、「定率減税を全廃する方向で検討する」「消費税の増税も検討する」ということをのべました。今日の報道では、“定率減税全廃の方向で与党が方針を固めた”ということが伝えられています。

 だいたい定率減税の廃止などというのは、自民党の政権公約には全くふれられていなかった問題です。彼らが黙して一言も語らなかった問題です。それどころか自民党の政権公約には、「サラリーマン増税はやらない」ということが明記されています。その問題を選挙後に持ち出すというのは公約違反であって絶対に許されないということを、きびしく追及していかなければなりません。

 この庶民大増税のくわだてを阻止していくうえで、一つ大切な問題を提起したいと思います。小泉首相は選挙中の一連の言明のなかで、「かりに増税がやむをえないとしても、その前にムダ遣いを徹底してなくすのが先決だ」ということを繰り返しました。これを公約としたわけです。

 ですから私たちは、国政のあらゆる分野でどんなムダ遣いがあるのかを、大きなムダ遣いも、額は小さいけれども国民の怒りの焦点になっているムダ遣いも、総ざらい的に明らかにして、これにメスを入れるのかどうか一つひとつ迫っていく。これは増税のくわだてを阻止していくうえでもたいへん重要な課題となってきます。

 憲法問題でも、選挙後に重大な動きがおこっています。選挙直後に、自民党が改憲手続きのための国民投票法の提案・審議権を持つ特別委員会の設置を、強引に各派協議会の場で持ち出してきました。この国民投票法の狙いが憲法九条の改定に向けての条件づくりであるということは明白で、われわれはきっぱり反対していきます。

 同時に、いま直視する必要があるのは、自民・民主とも、独自の憲法改定案づくりの動きを本格的に進めようとしていることです。すでに自民党は憲法九条を全面的に破壊する独自の憲法改定案を策定中ですが、民主党の新しい代表になった前原氏も、憲法九条二項を削除するという持論をのべています。この点で自民・民主が足並みをそろえたということはたいへんに重大であります。

 これは国会でのたたかいとともに、憲法改悪反対の一点での国民的多数派を築く草の根でのたたかいが非常に大事になってくるということを、あらためて強調したいと思います。(拍手)

■自らの主体的奮闘で、新しい政治の局面を開こう

 この選挙結果がはらんでいる二つの深い矛盾ということを申しました。結局、今度の選挙で、首相は郵政一本で選挙をたたかい、その郵政問題でも真実を語らず、増税を隠し、改憲も隠した。そういう選挙をやったわけです。私は、こういう選挙をしなければならないことそれ自体のなかに、自民党政治のゆきづまりが、大局的にみればいかに深刻かということが示されていると思います。

 こんな曲芸的な綱渡りは長続きするものではありません。このごまかしが破たんしたときには情勢の新しい激動が起こることは明らかです。私たちが主体的な奮闘によって、小泉政権をおいつめ、新しい情勢の局面を開くという攻勢的な構えで、この新しい国会にのぞみたいと思います。

■新しい注目と期待にこたえる活動に、意気高くとりくもう

 この国会では、障害者「自立」支援の名による福祉破壊法案とのたたかい、イラクとインド洋に展開した自衛隊の即時撤兵を求めるたたかいなど、くらしと平和にかかわる重大な焦点も問われてまいります。

 どの問題でも四百九十二万人の支持してくださった方の期待にこたえる奮闘をしていきたいと思います。

 そして、これは、この選挙をたたかったみなさんの共通の実感でもあると思いますが、私たちを支持してくれた四百九十二万人の背景には、今度の選挙ではわが党を支持するにいたらなかったけれども、わが党に新しい注目をよせ、期待をよせている方の多くのまなざしがあるということも感じられているのではないかと思います。

 小泉政権が議席の面で圧倒的多数を占め、「どうもこの暴走は危ないぞ」「このままでは日本の政治は、とんでもないところにいきかねない」、こういうことを多くの方々が感じだしているもとで、「たしかな野党」・日本共産党への期待と注目というのは、いよいよ広がる条件があると感じております。

 今度の新しい国会で、総選挙でわが党を支持してくださった方々に、「共産党に入れてよかった」と思っていただける奮闘をするとともに、この選挙では注目と期待をよせながらも、まだわが党に投票していない方々も含めた多くの国民のみなさんに、「今度の選挙では共産党に入れよう」と思っていただけるような大奮闘を、新しい国会議員団が、衆参の力をあわせてやりぬく決意を固めあってごあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(拍手)


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