2005年9月15日(木)「しんぶん赤旗」
男女共同参画会議 首相に答申
格差改善進まぬ実態指摘 小泉「改革」前提の弱点も
内閣府の男女共同参画会議はこのほど、男女共同参画社会基本法にもとづく基本計画の「改定に当たっての基本的な考え方」を小泉首相に答申しました。
同法は、男女共同参画社会の形成についての基本理念と、促進のための施策の基本を定めています。推進のための基本計画をつくることも定めています。現在、この計画の改定作業が行われており、今回の答申はこれに対するものです。
答申は、現行計画が掲げた「政策・方針決定過程への参画」「雇用の分野の均等と機会の待遇の確保」など十二項目について、それぞれ、「達成状況と評価」「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」などを示しています。
特徴の第一は、現行計画の課題それぞれの「評価と問題点」で、改善が進んでいないことを指摘していることです。
とりわけ賃金については女性の一般労働者とパート労働者の一時間あたりの所定内給与の格差の広がりをはじめ、「男女賃金格差は長期的には縮小傾向にあるものの、国際的にみて格差は大きい」としています。また、パートタイム労働者の「処遇が必ずしも働きに見合ったものになっていない」としています。
■78カ国中38位
「政策・方針決定過程」への参画でも、国の審議会への参画は着実にすすんでいるとしつつも、GEM(女性の政治的経済的地位を示す国際的指標)は七十八カ国中三十八位であり、「改善が進んでいない」としています。男女の仕事と家庭の両立では男性の育児休暇取得率の低さ、「子育て世代の男性の労働時間短縮が進んでいない」問題点もあげています。
第二には、問題点を解決するための「基本的な方向」「具体的な取組」で、「女性差別撤廃条約選択議定書の批准の可能性について早期に検討を行う」「ILO一〇〇号条約の趣旨を踏まえ、男女間の賃金格差の解消を図る」など踏み込んで提起している問題もあります。これらの内容を答申にとどめず、計画に盛り込ませることが重要です。
女性研究者の登用問題、防災、地域・まちづくり、環境への女性の参画などが新たに盛り込まれています。一方で遅れを指摘しつつも解決策を示さず、現行計画にある「年間総労働時間千八百時間の早期達成・定着」にふれないなど、いくつかの後退も見逃せません。
第三に、重大なことは「考え方」そのものが小泉「構造改革」路線を踏襲し、それを進めるものとして、今後の計画が提起されていることです。「画一的な基準を満たすための規制ではなく、健全な競争の促進と、公正を担保するための新たなルールが必要」という、政府経済財政諮問会議が今年四月に発表した「日本21世紀ビジョン」そのままの文言で変化への対応が強調されています。
答申は、政府税調がすすめてきた配偶者特別控除、配偶者控除の廃止や見直しについて、男女共同参画専門調査会の提起が反映されたとし、さらに検討を求めています。
■改悪法の流れ
高齢者の介護保険の負担軽減や充実よりも「自立」支援、給付を「効果のあるものに見直し」、介護予防をすすめるという改悪法の流れそのものです。
自公・小泉「構造改革」路線は女性の雇用悪化をすすめ、子育てや老後の不安と困難をひろげています。
女性の切実な要求と運動と結んだ国会のたたかいでこれを打ち破り、男女平等への実効ある制度と施策の改善・充実を実現させていくことが重要となっています。
(日本共産党女性委員会)