2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」
主張
「民意」のありか
国民の答えはひとつではない
小泉首相は、総選挙の結果を受けた記者会見で、「郵政民営化は本当に必要ないのか国民に聞いてみたいという私の声を国民も真剣に受け取り、答えを出してくれた」とのべました。
小泉内閣の郵政民営化法案に賛成の自民党、公明党が合わせて三分の二の議席を得たことをもって、首相は、郵政民営化法案に圧倒的支持があったかのようにいっています。
しかし、得票でみると、自民党、公明党あわせて、比例では51・5%、選挙区では49・2%です。賛否半々であり、郵政民営化法案にたいする国民の答えは一つにまとまったというものではありません。
■真実を語らずに
しかも、首相は、選挙のはじめから終わりまで国民に真実を語りませんでした。郵政事業が独立採算で一円も税金が投入されていないことを首相も百も承知しています。ところが、民営化で“税金の節約になる”と国民をごまかしました。郵政公社は利益の半分を納付金として四年に一回納める仕組みになっているのに、郵政公社のままだと利益をあげてもそこから税金をとれず、“民営化すれば税収増になる”とウソをつきました。
得票での賛否半々という結果も、国民に正確な情報を提供して判断をあおいだとは言いがたいものです。
自公の議席獲得数のみに目を奪われて、民意を見誤ることがあってはなりません。まして、議論が決着ずみであるかのようにいって、反対論を最初から切り捨てるような態度は許されません。
日本共産党は、総選挙を受けた特別国会での徹底審議を通じて、廃案にすることをめざし、奮闘します。そのためにも、小泉内閣の郵政民営化法案反対での国会共闘を呼びかけています。
小泉首相は、「郵政民営化と同時に並行して、もろもろの改革を進めてきたつもりだ。今までの四年間の実績を踏まえて基本方針に沿って、今後も改革を進めるべく全力を尽くしたい」とのべています。
あたかも、国民が、小泉「改革」全体に信任を与えたかのような発言です。
しかし、選挙戦のなかでの首相の演説は、最後まで郵政民営化問題一本やりでした。「改革」の中身である不良債権の早期処理、社会保障の連続改悪、雇用の非正規社員化などが選挙戦のなかで問題になっても、首相がそのことにふれることはありませんでした。
総選挙後、有権者から“自民党に入れたが、憲法改定やサラリーマン増税が心配だ”といった声が出されています。マスメディアからも、“白紙委任と誤解するな”とクギをさす論調が出ています。
首相が、唯一の争点にした郵政民営化問題では、偽りの宣伝に終始し、争点となるべき消費税・所得税などの庶民大増税、憲法九条改悪の問題では、隠し続ける態度をとりました。
しかし、これらは、今後、必ず日程にのぼってくる国政上の重大問題です。
自民党は、〇七年度をめどに消費税を含む税制の抜本的改革をかかげており、この十一月には、憲法改悪案を出すことにしているからです。
■たしかな野党の奮闘が
日本共産党は、郵政民営化に真っ向から反対をつらぬき、庶民大増税、憲法改悪を許さず、国民のくらし・平和の守り手として、全力を尽くします。たしかな野党としての役割をしっかり果たしていきます。