2005年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

「郵便局ネットワークは維持する」――小泉首相 この大ウソ

民営化の目標は、郵便局とその事業の「廃止」

――日米財界はここまで言っている


 小泉首相は、郵政民営化をめぐり、「郵便局はなくしません」として郵便局のネットワークを維持するかのように宣伝しています。しかし、これが大きなウソであることは、民営化を仕掛けた米日の財界の方針からも明らかです。

■小泉首相

 「全国津々浦々に存在する郵便局のネットワークは貴重な資産です」(署名入り方針文書で)、 「離島でもへき地でも、郵便局はなくしません」(四日のNHKテレビ討論で)

■実は

■民営化を仕掛けた米日の財界の方針

 「郵貯・簡保が、日本国民一般にユニバーサルサービス(全国一律サービス)を提供し続ける必要はなく、本来的には廃止されるべきである」(昨年十一月の「日米財界人会議」での「共同声明」)

■アメリカの保険・金融・物流大手も加わって

 昨年十一月十五日、日米財界人会議が都内で開かれました。

 会議の構成企業・役員は、米側が大手保険会社のアフラック、プルデンシャル、金融・投資会社のゴールドマン・サックス、リップルウッド、物流・運輸大手のフェデラルエクスプレスなど四十八企業、一団体の代表。日本側は、日本経団連、経済同友会、東京海上日動火災保険、野村ホールディングス、第一生命保険、みずほフィナンシャルグループ、東京三菱銀行など二十八企業九財界団体の代表らでした。

 日米財界人会議は「共同声明」を確認しましたが、ここには大きなスペースを割いて、日本の郵政民営化にたいする日米の財界・企業の要求が書き込まれました。

 共同声明はいいます。

■「郵貯・簡保が、日本国民一般にユニバーサルサービスを 提供し続ける必要はなく、本来的には廃止されるべきである」

 これを決めた米日の財界・企業は、郵政民営化が実現したあかつきには、郵便局が行ってきた事業に乗り出して、事業と経営をわが物にしようという企業です。小泉首相のいう「官」から「民」への改革の受け皿ともなる当事者の財界・大企業です。

 その財界が、郵便局を通じて「日本国民一般にユニバーサルサービス」を提供することは、「不必要」「廃止する」とはっきり決めているのです。小泉首相のいう「郵便局はなくしません」「民間でできるものは民間で」という言葉は、まったくのウソということです。

■郵便局網を存続できなくするカナメ――「四分社化」の要求

 日米財界が共同声明でかかげた、全国郵便局ネットワークの「廃止」方針では、その段取りもしっかり要求しています。それが、郵便、郵貯、簡保、窓口会社への四分社化の方針です。

 「四つの郵政事業を四つの独立した法人に分解すること」

 「四つの郵政事業の間の相互補助を禁止するための効果的な方策をとること」

 現在の郵便局のネットワークは、国民の身近な場所にある郵便局を足場に、安心の度合いが大きい郵貯、簡保が広く利用され、そこから生まれる利益を郵便局、職員の経費にあてて、全額自前で維持されています。

 このしくみがあるからこそ、郵政事業は、国民の税金を一円も使わず、人件費もふくめすべて独立採算でまかなわれてきました。郵便局を維持するこのおおもとの基盤が壊されたのでは、ネットワークは維持できません。

 その証拠に、民営化されれば郵貯事業も六百億円の赤字になり、郵便局の維持に委託費を繰り入れるどころか、郵貯自体の先行きのめどもたたなくなるという政府の試算も国会で公表されています。

 維持費が回らず郵便局が減れば、郵貯、簡保は利用しにくくなり、ネットワークは文字通り縮小に向かいます。日米の銀行・保険大手には大喜びの構図がつくられます。

 首相の「民営化法案」には、この「四分社化」がそのまま書き込まれたのです。

■宅配便に参入する米企業の要求にこたえて

 実は、この四分社化は、アメリカの保険会社だけでなく、宅配便への進出をめざす米企業のねらいでもあります。

 米通商代表部は日本政府への「対日要望書」(昨年十月)で、郵便局が全国ネットの郵便事業のなかで得られた利益、利点を生かして「ゆうパック」など宅配事業を展開することにたいしても、「相互補助の防止」をタテに成り立たなくする要求を行ってきました。

 日米財界人会議の声明に加わった米物流大手フェデラル・エクスプレスは、すでに日本国内で宅配事業を開始しています。

 彼らの事業拡張をやりやすくするために、郵便局とその便利さを切り縮めよと要求する―小泉首相の郵政民営化は、こうした日米財界の要求に、徹頭徹尾こたえたものです。


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