2005年9月7日(水)「しんぶん赤旗」

主張

首相とイラク

またもや侵略戦争の正当化


 小泉首相はいまだに、アメリカのイラク戦争を「正しかった」といっています(四日、NHKテレビ)。イラクの旧フセイン政権が「査察もうけいれず」、「イラク戦争前からテロが起こっていた」というのですが、まったく事実に反する侵略戦争正当化です。

■大量破壊兵器なかった

 米英軍のイラク侵攻開始(二〇〇三年三月二十日)の直前、国連査察団の委員長は安保理に、イラクが「積極的」「自発的」に査察に協力するようになったと報告(三月七日)。検証にかかるのはあと「数カ月」という見通しも示していました。

 査察を打ち切らせ、戦争を始めたのが米英軍です。

 米国はイラクを軍事占領下に置き、情報専門家千人以上を投入して大量破壊兵器を探したものの発見できませんでした。米査察団長自身が「大量破壊兵器は存在しない」と証言。国連査察団も同じ結論を確認しています。米上院情報特別委も、イラクに大量破壊兵器はなかったと結論づけた報告(〇四年七月)で、フセイン政権が国際テロ組織アルカイダと「公式の関係をもったことはない」と明言しています。

 このように、“大量破壊兵器を保有している”“テロ組織と結びついている”といって強行したイラク戦争の口実は、すべてうそだったことがはっきりしています。

 英国の独立調査委も昨年七月、開戦前にイラクは「配備可能な生物化学兵器をもっていなかった」と結論づけました。

 小泉首相は、イラク戦争開戦時、「大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に…どう対峙(たいじ)するか」が問題だから支持するのだ、といっていました(〇三年三月二十日付メールマガジン)。しかし「大量破壊兵器を保有するイラク」という断定は、ウソでした。そのことが、国連や米英の調査によって明確になっているのに、なおかつ「正しかった」といいはるのは、事実も道理も無視して、ブッシュ米政権に追従する態度です。

 ブッシュ政権がウソの口実で強行したイラク侵略戦争は、何万人ものイラクの人々の命を奪い、くらしを破壊しました。無法な侵略戦争と占領支配が、イラク情勢悪化の根源になっています。

 この侵略戦争を正当化するだけでなく、協力・加担の道を進んでいるのが小泉自公政権です。多くの国民の反対を押し切ってイラクへの自衛隊派兵を強行。米軍指揮下の「多国籍軍」に組み込みました。

 イラク全土が戦争状態なのにサマワは「非戦闘地域」だとして、陸上自衛隊を送り込みました。航空自衛隊は、米軍の兵員、物資の輸送にあたっています。イラクの人々の反発が強まり、自衛隊宿営地への攻撃が増えています。

■自衛隊を引き揚げよ

 ところが、小泉首相は自衛隊をどうするか「派遣期限の切れる十二月までに考える」というばかりで、撤退の“出口戦略”を示しません。非常に危険で無責任な態度です。

 すでに十二カ国が撤兵。連絡将校を残すだけが二カ国、年内撤退予定が三カ国、韓国政府も国内世論を考慮して派兵縮小を検討していると報じられます。米国とともに派兵した三十八カ国中、撤退への動きがない国は半数以下になっています。

 小泉首相がイラク侵略戦争の正当化と自衛隊派兵に固執するなら、いっそうの国際的な孤立と敵意の増幅を招きかねません。自衛隊は速やかに撤退させるべきです。


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