2005年8月28日(日)「しんぶん赤旗」

主張

総選挙公約

その政治、だれのため?


 日本経団連の宮原賢次副会長(住友商事会長)が「経団連は自民党を支持する」と表明しました。郵政民営化は「構造改革の本丸」だから、と説明します。経済同友会の北城恪太郎代表幹事(日本IBM会長)は自民党については「郵政については具体的で評価できる」、民主党の郵貯縮小論も正しいと評しています。

 財界は郵政民営化と「構造改革」を基準に、身勝手な注文をつけながら、自民・民主を応援しています。

■財界奉仕競う自・民

 問われるのは、財界が立案し応援する「構造改革」が国民に何をもたらすのかということです。

 財界が「構造改革」の突破口と位置づける郵政民営化は、国民サービスの切り捨てそのものです。大銀行の店舗リストラや手数料商売を見れば明白です。狙いは三百四十兆円の郵貯・簡保の資金にあります。

 税金を一円も使わずに独立採算で郵便、貯金、保険の基礎的サービスをどんな過疎地でも提供している郵政を民営化し、ずたずたにすることには一片の道理もありません。

 民主党は郵貯の預入限度額切り下げで郵貯を縮小するとしています。

 もともと小泉内閣でも、当初、預入限度額引き下げを盛り込むかどうか議論がありました。その際、「『民間の金融機関を喜ばせるだけのことをやるのか』という批判を招く」との慎重論が出されて見送られた経過があります。北城氏が評価しているように、民主党案は財界要求のいっそう露骨な代弁です。

 北城氏は、日本の財政赤字が先進国で最悪だから「構造改革」で「小さな政府」を目指すしかないと主張します。しかし、財界が本気で財政を心配しているとは思えません。

 大企業は大金を持て余しています。過去最高の利益を上げて、金余りは八十二兆円にも膨らんでいます。

 こうした状況では、大企業の負担を増やしたら国際競争力に響くなどという議論は成り立たず、「法人増税が選択肢からあらかじめ排除されうるものではない」。経済専門誌で、政府の審議会委員を務める池尾和人慶大教授が指摘しています。

 日本企業の税・社会保障負担は欧州諸国の五―八割にすぎないことが政府資料でも明確になっています。

 財界が真剣に日本の財政を考えているのなら、「私たちが応分の負担をします」と、みずから率先提案してしかるべきではありませんか。

 ところが財界が求めるのは国民に犠牲を強いて自分の負担を減らすことばかり。「構造改革」の青写真である経団連「奥田ビジョン」(二〇〇三年)に、はっきり書いてあります。

 所得税の諸控除を廃止し、低所得層に増税する、消費税を16%に引き上げる。法人税は引き下げ、企業の社会保障負担をなくす―。

■負担と責任の転嫁

 そもそも財政赤字をつくった主な原因は、財界が求めた公共事業の大盤振る舞い、大企業と資産家・大金持ち減税にあります。ほおかぶりを決め込んで、国民に負担と責任を転嫁するなんて許せません。

 自民党も公明党も民主党も、繰り返されてきた大企業や高額所得者への減税には指一本触れず、「構造改革」の名で庶民への負担増をエスカレートさせようとしています。

 献金目当てで財界におもねる政治では、国民のくらしが成り立ちません。無駄遣いに徹底的にメスを入れ、財界・大企業に応分の負担と責任を―。この主張を堂々と掲げる日本共産党が伸びてこそ、くらしにも財政にも明日が見えてきます。


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