2005年8月27日(土)「しんぶん赤旗」

主張

憲法と各党

戦争しない、させない審判を


 自民党は、総選挙むけマニフェストで、「日本の基本を変える」として「『新憲法制定』に向けて具体的に動きます」と表明しています。郵政一本やりの小泉首相の態度は、それ以外は「白紙委任」せよというに等しい、ふまじめなものです。

 憲法問題は、国民のくらしと権利、日本のあり方を根本的に左右する大問題です。総選挙の重大争点として、国民的に議論を深め、審判を下す必要があります。

■九条改憲で同じ土俵に

 自民党は、「新憲法第一次案」を発表しています。その中心は、憲法九条を全面的に改悪し、日本を「海外で戦争する国」にすることです。

 たとえば、九条の戦力不保持・交戦権否認の規定を完全に削除し、「自衛軍を保持する」と明記。「自衛軍」は「国際社会の平和及び安全の確保」を名目にした海外活動ができること、その活動に「国民は…積極的に寄与するよう努めるものとする」とも書いています。

 これは、イラク戦争のような戦争に参戦する道を開き、国民に戦争協力を強要するものです。

 自民党の「重点施策2006」では、よりはっきりと、「憲法第9条を改正」し「集団的自衛権の行使を可能とすることなどを明確化」すると書いています。「集団的自衛権の行使」とは、日本が攻撃されていないのに、軍事同盟を結んでいるアメリカが海外で戦争を始めたら一緒に戦争をするということ。海外の戦争に乗り出すための九条改憲であることを、露骨に表明したものです。

 公明党は自民党と連立して、自衛隊をイラクに派兵するなど、憲法の平和原則を踏みにじってきました。マニフェストでは、憲法第九条一項、二項の「堅持」を言いつつも、「自衛隊の存在や国際貢献等について、『加憲』の論議の対象」にして「検討」すると書いています。「加憲」の名で改憲の流れに乗る態度です。

 民主党も、マニフェストで「自らの『憲法提言』を国民に示」し、「国会議員の3分の2以上の合意を達成」すべく「コンセンサスづくり」に努力する、とのべています。改憲案を作り、自民党や公明党との「合意」をはかるということです。

 民主党の方針は、国連決議があれば、海外での武力行使を認める、その立場を憲法改定に反映させるというものです。しかし、ブッシュ米政権や小泉内閣は、「国連決議」を恣意(しい)的に利用してイラク侵略戦争を正当化しています。「国連決議があれば」と武力行使に乗り出す民主党の方針は、それと同じ流れです。実際、民主党の鳩山元代表・「ネクスト外務大臣」は、国会で「改憲し、自衛軍を書き込め」と要求し、小泉首相に「賛成だ」と答えさせています。

 社民党は、しきりに「護憲」を売り込みながら、改憲の民主党と選挙協力をすすめています。この矛盾を国民にどう説明するのでしょう。

■改悪反対で力を合わせ

 日本共産党は、憲法の全条項をまもる立場に立ち、日本を「海外で戦争をする国」に変える憲法改悪にきっぱり反対しています。憲法改悪反対のすべての人々と力を合わせ、九条を守る運動を広げています。

 憲法第九条は、侵略戦争への反省にたって、二度と戦争をしないことを明確にしたものです。これを貫いてこそ、アジアと世界からの信頼を得られます。

 改憲政党に厳しい審判を下し、国民の、戦争をしない、させない決意を、はっきりと示しましょう。


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