2005年8月25日(木)「しんぶん赤旗」

ブラジル人青年射殺

遺族「公正な調査を」

英首相に書簡


 【ロンドン=西尾正哉】英ロンドン在住のブラジル人電気技師ジェアン・シャレス・デメネゼスさん(27)がロンドン同時多発テロ事件の容疑者と誤認され射殺された事件で、青年の家族と支援者は二十三日、英首相官邸を訪れ、射殺事件の公正な調査を求める書簡を手渡しました。


■支持者200人と官邸に

 デメネゼスさんのいとこで書簡を手渡したアレサンドロ・ペレイラさんら家族と支援者約二百人は首相官邸前に集まり、「正義がなければ、平和はない」とシュプレヒコールを繰り返しました。

 ペレイラさんは官邸前で声明を読み上げ、「私はいま、家族を代表してブレア首相に書簡を渡した。ジェアンを殺した責任者を法の裁きにかけるように求めてきた」と述べました。

 ペレイラさんは続けて、「家族は、テロ容疑者を即時射殺する方針やロンドン警視庁によるウソを含め、死に至ったすべての状況を完全な公的調査を行うように求めている。毎日、私たちはウソを見つけ出している」と語りました。

 英メディアが暴露した内部文書によると、デメネゼスさんは事件当時、薄手のデニムのジャケットを着用しており、「厚手のコート着用が自爆テロ容疑者との誤解を招いた」との警察の説明が虚偽だった可能性を指摘。ロンドン警視庁の対応に批判が強まっています。

 二十三日には、デメネゼスさんが射殺されたロンドン南部ストックウェル駅の無人監視カメラのビデオテープの内容を警察が消去したとの疑惑が明らかになりました。

 警察は、デメネゼスさん射殺現場の駅構内のビデオテープを回収。しかし“何も映っていなかった”としてテープを返却しました。しかし、ロンドン地下鉄の当局者は「四つのうち少なくとも三つは作動していた。駅職員は、テープに何も映ってないとする警察の主張に驚きと怒りを表明している」といいます。

 イブニング・スタンダード紙二十三日付は、事件を調査する独立調査委員会が刑事事件として訴追する可能性も示唆していると報じました。


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