2005年8月23日(火)「しんぶん赤旗」

主張

教研集会

参加・共同の学校づくりの努力


 全教などが主催する教育研究全国集会は、子どもと教育をめぐる切実な問題を広い視点から議論する場になりました。そこでは子どもたちや親が発言する姿がこれまでになく増えました。参加と共同の学校づくりの努力が各地で広がっていることも注目されます。

■国の「改革」とせめぎあい

 「自分たちで計画し、新しいことにどんどんチャレンジしてきました。(担任教師は)何かをするときに『どうする?』と聞いてくれます。自分たちで計画し、考えるということをもっとやっていきたいです」

 和歌山県の小学校六年生の女子のその発言には、会場から温かい拍手がおこりました。「子ども、父母、地域、教職員がいっしょにすすめる学校づくり、PTA活動」をテーマにしたフォーラムでのことです。

 「体罰も校則もなく、先生が話を聞いてくれる学校はほんとうに楽しい」。これは、憲法・教育基本法・子どもの権利条約シンポジウムでのパネリストの高校生の発言です。

 子どもの声を聞く営みは多様に具体化されています。生徒、保護者、教職員の三者が、話しあって学校改革にとりくむ、三者協議会・三者懇談会の実践もそのひとつです。

 その経験は多くの分科会で報告されました。北海道の高校PTA会長の母親は、教師でなく親が提案して三者懇談会を実現し続けていることを報告。長野の高校教師は、授業改革について、三者協議会に生徒側と教師側が双方に改善要求を出し、それぞれ持ち帰り議論し、回答し、その実行に努力し、それをくりかえしていると報告。いずれも新たな展開と深まりをうかがわせました。

 こうした学校づくりは、管理と競争を激しくする政府の「改革」のひどさをうきぼりにし、せめぎあう場になっています。行政が、生徒による授業評価を学校に求め、行政が決めた画一的書式でするよう示したのにたいして、押しつけを許さず、その学校独自の書式による評価の提出ですませた経験の報告は注目されました。授業評価を生徒会が三者協議会の議題にするよう提案し、書式も生徒会が考え提案し、協議会で検討したものでした。

 実践は多様ですが、そこで教師や親が共通して発見しているのは、子どもの、成長への願いの深さ、それが受けとめられたときに発揮されるたくましさです。

 滋賀県の小学校教師は、卒業のさいに六年生が学校独自の「子どもの権利憲章」を自発的につくったことを報告しました。子どもが学校を評価する「子どもの学校通信簿」用のアンケートのなかで、一、二年生が六年生への苦情をいろいろ書いていたことから、「いやがられたまま卒業していいのか」と考えたのでした。憲章づくりに子どもたちが参照していたのは、日本国憲法でした。

■社会と人生の主人公へ

 長野県の教師は、高校生の憲法意識調査で、自校生徒の九条「改正」反対や十八歳選挙権賛成が全国平均よりかなり高かったのは、憲法学習だけでなく、七年来の三者協議会、地域活動のなかで、生徒たちが学校づくり、町づくりに主体的に加わり、主権者意識、主人公意識が育ってきたからだと考える、と報告しました。

 「海外で戦争をする国」へと憲法・教育基本法の改悪が企図されるいま、社会と人生の主人公に子どもたちが成長することは、日本の未来がかかった事業です。参加と共同の学校づくりの探求がさらに前進することを期待します。


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