2005年8月20日(土)「しんぶん赤旗」

ブラジル人男性射殺

不審行動なかった

英警察内部資料で判明


 ロンドン在住のブラジル人男性ジェアン・シャレス・デメネゼス氏(27)を英警察がテロ犯とみなして射殺した事件で、英国の複数のメディアは十八日までに、男性に不審な行動はなかったことを示す警察の内部資料を報道しました。男性がテロリストと疑われるような行為をしたとする当初の警察の主張との違いに、英警察への内外の不信が高まっています。

 英武装警察は先月二十二日、ロンドン南部ストックウェル駅に停車中の地下鉄車両内で、デメネゼス氏を射殺。その際の状況について、厚手のコートを着用したデメネゼス氏が、警官の職務質問を振り切り改札口を飛び越えて地下鉄車内に逃げ込んだとしていました。

 しかし、独自に入手した内部資料を基にした英民間のITVなどの報道によると、デメネゼス氏は薄いデニムの上下を着用。通常通りに改札を通過し電車に乗り込んだところを二人の警官に襲われ、八発の銃弾を撃ち込まれたといいます。

 さらに、警察捜査の問題点を調べる独立調査委員会のウォダム副委員長は十八日、ロンドン警視庁が当初調査に抵抗したことを暴露。これが調査の遅延をもたらしたことも明らかになりました。

 デメネゼス氏の遺族の弁護士は同日、調査妨害を批判し、ブレア警視総監の辞任を求めました。同警視総監は辞任を拒否しています。

 英ガーディアン紙(電子版)十八日付社説は、「警察とブレア警視総監が国民に語ったことの信頼は揺らいだ」と指摘し、真相の究明と公正な裁きの必要性を訴えました。

 一方、ブラジル外務省は十八日、声明を出し「衝撃的な映像を伴う最近のニュースを受け、ブラジル政府は怒りを強くしている」と表明。二十二日から検事副総長ら二人を英国に派遣し、英当局に真相究明を強く求めることを明らかにしました。


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