2005年8月20日(土)「しんぶん赤旗」

主張

ガザ撤退

中東和平への前進を願う


 イスラエル政府が、地中海沿岸のパレスチナ自治区―ガザ地区に建設してきた入植地の撤収を始めました。イスラエルが、一九六七年の第三次中東戦争での占領地から入植地をひきあげるのは、シナイ半島のエジプトへの返還(八二年)以来です。

■西岸からも撤退を

 ガザでは、イスラエル軍の日常的な武力行使下で百四十万のパレスチナ人が難民キャンプなどで暮らすなか、八千人余のイスラエル人入植者が33%の面積の一等地を占領。入植地は占領の不公正さの象徴でした。

 私たちは、イスラエルが国連決議にもとづき一九六七年以来のすべての占領地から撤退するよう求めてきましたが、この機会に、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸などからも撤退することを求めます。そして、今回の措置が、イスラエル側が一方的に中断しているパレスチナ側との和平交渉の再開につながることを希望します。

 パレスチナの地には第二次大戦後、国連決議にもとづき、ユダヤ人国家とアラブ人国家がつくられることになっていました。一九四八年にイスラエルが建国されましたが、パレスチナ・アラブ人の国家は樹立されていません。四次に及ぶ中東戦争、多数のパレスチナ難民の発生、パレスチナ側からの無差別テロなど、流血と悲惨がくりかえされてきました。

 公正な和平を実現するためには、イスラエルが占領地から撤退し、パレスチナ人の独立国家建設を含む民族自決権を実現し、双方が互いに生存権を認めあって平和的に共存する条件を確立しなければなりません。

 シャロン政権の一部撤退計画によれば、ガザ地区は今後とも空域、海岸、エジプトとの国境がイスラエルの管理下に置かれます。イスラエルは、「ガザからの脅威に対しては予防措置や武力行使を含む自衛権を留保する」としています。ガザ地区を「巨大な監獄」にするような、これらの措置は、すぐやめるべきです。

 シャロン政権は、二十万人以上の入植者がいる西岸地域(東エルサレムをくわえると四十万人)で、入植地の拡大をすすめるとともに、西岸地区の10%も囲い込む「分離壁」の建設を急ピッチですすめてきました。占領地での入植地の建設、そこへの自国民の送り込みは、国際人道法が占領国に禁じている行為です。「分離壁」で入植地をまとめてイスラエルに「併合」するようなやり方は、昨年七月の国際司法裁の勧告的意見でも厳しく断罪されています。

■態度問われているのは

 和平の指針(ロードマップ)にもとづいて入植地撤去やパレスチナ国家樹立への道筋にイスラエルを立ち戻らせるうえで、アメリカの果たすべき役割は大きなものがあります。

 しかし、ブッシュ米大統領は、イスラエルに一九六七年以降の占領地から撤退するように求めた国連安保理決議二四二、三三八などは「非現実的」だとのべ、シャロン政権の占領地「併合」にも等しい行動を容認しています。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ガザ撤退を「正しい選択」と評価し、今後、西岸と東エルサレムからの撤退を進めるよう求めています。西岸でのイスラエル人入植者によるパレスチナ人殺傷事件に対しても、自制をよびかけています。

 今回の措置を中東和平の真の解決の契機とするためには、なによりもアメリカとイスラエルの態度が鋭く問われています。


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