2005年8月18日(木)「しんぶん赤旗」

ドイツ

社会保障削減に反対

左翼党 2大政党に対抗 支持訴え

総選挙まで1カ月


 ドイツ連邦議会(下院)総選挙は九月十八日の投票まで一カ月に迫りました。社会的公正の実現を掲げる左翼党の支持率が10%台に伸び、二大政党に対抗して第三位になっています。与党、社会民主党(SPD)と最大野党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)がともに進める社会保障・福祉の削減に反対する同党の主張が共感を呼んでいます。(片岡正明)


 左翼党は旧東独部に地盤を持つ民主的社会主義党(PDS)が改称したもの。旧西独部中心の左翼政党「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)を含めた統一選挙名簿で選挙戦に臨んでいます。

 SPDと90年連合・緑の党が連立したシュレーダー政権による社会改革政策「アジェンダ二〇一〇」と労働市場を改革する「ハルツ改革」に対する各党の姿勢が、今回の選挙で最大の焦点となっています。

 二つの政策は、シュレーダー首相が二期目の政権についた二〇〇三年に、経済のグローバル化(地球規模化)と高齢化社会のなかで社会福祉国家を維持することを目標に打ち出したもの。二年間の実施をへて、失業保険給付期間の短縮や失業援助金削減など、国民に痛みを強いる面が浮き彫りになってきました。

 選挙戦のなかで社民党は「アジェンダ二〇一〇」堅持を主張、経済活性化を理由に企業税の税率を25%から19%に引き下げることをうたいながらも、高額所得者の所得税率引き上げや高齢者の失業保険給付期間の延長など一部手直しを掲げています。

 CDU・CSUは、付加価値税の16%から18%への税率引き上げを主張。さらに企業負担軽減を狙って社会保険料の引き下げを発表しています。また企業での労働者の権利である共同決定権の廃止や解雇規制緩和を要求する動きもあります。

 これに対し左翼党は、シュレーダー政権の失業保険・失業援助金「改悪」の撤回、月額最低賃金の千四百ユーロへの引き上げや最低年金月八百ユーロの政策を打ち出しています。また、おもに資産家を対象にした財産税導入や高額所得者への最高税率を42%から50%に引き上げることや軍事費削減をアピールしています。

 外交政策で社民党はイラク戦争反対と派兵不参加を再確認、イランの核開発問題でもシュレーダー首相が十三日、米国の軍事的脅迫に警告するなど国連を中心とした安保政策を展開しています。CDU・CSUは、シュレーダー政権が米国との関係を損なったと批判し、テロとのたたかいや国際紛争の解決で対米関係の重視を公約しています。

 これに対し、左翼党は、イラク戦争・占領反対とともにアフガニスタンやコソボからのドイツ軍撤退を要求。米国の核兵器のドイツからの撤去を求めて政策の違いを際だたせています。

 左翼党の支持基盤は、昨年来、労組やPDSが行っている「アジェンダ二〇一〇」への抗議運動「月曜デモ」の全国への広まりにあります。PDSが旧東独の政権党社会主義統一党(SED)の後継政党であることへのためらいを超えて支持を伸ばしています。社民党の労働政策への反発を強めながら「政権は失いたくない」としてきた労働組合の幹部の間でも空気が変化。ドイツ労働組合総同盟(DGB)のゾンマー議長は、「左翼党も選択肢の一つ」と発言しています。

 「インフラテストディマップ」の世論調査によると、左翼党は六月三十日の世論調査以来、全国支持率で10%台で第三勢力を維持。旧東独部の支持率では七月十四日以来30%台を確保、五週連続で第一党となっています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp