2005年8月17日(水)「しんぶん赤旗」
憲法起草1週間延長
イラク国民議会 連邦制など一致せず
圧力かけた米政権に痛手
【カイロ=小泉大介】イラク暫定国民議会は十五日深夜、同国の政治プロセスの節目である恒久憲法の起草期限を同日から一週間延長し、二十二日とすることを決定しました。各政党代表らは十五日の期限ぎりぎりまで協議を続けましたが、連邦制の導入などをめぐり合意が得られませんでした。期限厳守を強く求めてきたブッシュ米政権にとっては大きな痛手となりました。
移行政府のジャファリ首相は延期決定後の会見で、「われわれは早期の起草をめざすが、憲法を完全なものにするまで話し合いたい」と述べるとともに、主要な不一致点が、連邦制と石油収入の配分問題にあったことを明らかにしました。
一方、連邦制導入を主張するクルド人のオスマン憲法起草委員は「期限を一週間延長しても、イスラム教スンニ派が連邦制で同意するか疑わしい。次回の国民議会はスンニ派抜きでも草案を承認するだろう」と主張しました。これにたいし、スンニ派代表のムトラク起草委員は「われわれはいまも連邦制を保留しているが、これだけが期限延長の原因ではなく、他にも多くの不一致点がある」と語りました。
暫定憲法であるイラク基本法は、十五日の期限までに憲法起草ができなかった場合、暫定国民議会を解散し新たな選挙を行うと規定していますが、議会の四分の三で改定が可能となっています。このため、同議会は十五日、基本法の改正を全会一致で可決し、当面の混乱を回避しました。