2005年8月16日(火)「しんぶん赤旗」

ガザ撤去 始まる

入植者 強制排除も

パレスチナ議長「正しい道を選択」

イスラエル


 【カイロ=小泉大介】イスラエル政府によるガザのユダヤ人入植地をすべて撤去する計画(二十一カ所、住民約八千人)が十五日、正式に開始されました。同日午前零時以降、イスラエル軍は入植地に通じる道路を封鎖し、入植者にたいし四十八時間以内に退去するよう求める通告書の配布を始めました。イスラエル閣議は十五日、先に三入植地の撤去を承認したのにつづき、ガザ最大のグッシュカティフ入植地郡の撤去を決定しました。

 撤去開始にあたっては、イスラエル軍や警察部隊四万人が動員されるとともに、パレスチナ側も治安部隊七千五百人を過激派による攻撃阻止のため入植地周辺に配置しました。十五日をもって、ガザの入植地滞在は違法状態となり、退去を拒否する住民は十七日以降、強制排除される予定です。

 ガザのユダヤ人入植地が解体・撤去されるのは一九六七年の第三次中東戦争で同地が占領されて以降初めて。パレスチナ自治政府のアッバス議長は十四日、「イスラエル国民に告ぐ。あなた方は正しい道を選択した」と表明。イスラエルのモファズ国防相は撤去開始にあたり「痛みと困難を伴うが、これは歴史的な日である」とのべました。

 イスラエル当局は入植者の半数は自主的に退去すると見込んでいますが、十五日には約四百人の入植者らが車のタイヤを燃やすなどして軍の立ち入りを妨害したり、衝突により五十人が逮捕される地域がでるなど緊張も高まっています。外部からは撤去を阻止するために数千人のユダヤ人過激派がすでにガザに侵入しているとみられます。

 ガザの入植地撤去とイスラエル軍の撤退に関しては、停滞する和平プロセス打開の一歩となることへの期待が内外で高まっています。しかし、これがイスラエル側の一方的措置であるとともに、ヨルダン川西岸では逆に、全体で二十万人以上の住民を抱える入植地の拡大・強化策が推進されており、今回の措置が和平交渉再開に結びつくかどうかは予断を許さぬ状況です。

 イスラエル軍はガザ撤退後も同地の制海空権と国境管理権を握り続ける方針で、パレスチナ住民の生活改善がもたらされるか疑問視する声も上がっています。


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