2005年8月15日(月)「しんぶん赤旗」

ガザ撤退 きょう開始

パレスチナ イスラエル 和平停滞打開なるか


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 【カイロ=小泉大介】イスラエルのシャロン首相が実施を表明してきたガザ地区からの全ユダヤ人入植地の撤去とイスラエル軍の撤退が十五日に開始されます。一九六七年の第三次中東戦争でのイスラエルの占領以来、入植地が撤去されるのは初めて。完了すれば形式的にはガザ全域がパレスチナ自治区となることから、和平過程停滞の打開に向けた一歩として内外の注目を集めています。

 パレスチナ自治政府のアッバス議長は、ガザからの入植地撤去を基本的に評価。「エルサレム、入植地、難民の問題が国連決議にそって解決されなければならない」と述べ、パレスチナ問題の根本的解決に結びつける決意を表明しました。

■式典に数千人

 入植地撤去の第一段階は、二十一あるうちの孤立した三つの入植地です。十五日、住民への退去命令が出され、従わない場合は十七日以降、軍が強制手段を取ります。残りの入植地も九月中には順次撤去される見込み。

 ガザでは約四万人のイスラエル軍と警察部隊が撤去作業のための配置につくとともに、パレスチナ側も七千人以上の治安部隊が撤去を円滑にすすめるため周辺に展開しています。ガザの漁港では十二日、撤去を祝う式典が行われ数千人のパレスチナ人が参加。「この時を長い間待ちわびていた」と喜びました。

 撤去の実施とその後の状況に関しては混乱も予想されます。

 世論調査ではイスラエル国民の約六割が撤去、撤退を支持していますが、強硬な反対勢力も根強く存在しています。十一日にはテルアビブで約二十万人が「撤去反対」を掲げ集会を開きました。

■「抵抗は続く」

 パレスチナ側では、ガザを拠点にイスラエルを攻撃してきた過激派組織ハマスの幹部が十三日、「他の場所で占領が続く限り抵抗は続く」と表明しました。

 今回の撤去計画には、ヨルダン川西岸の四つの入植地も含まれていますが、百二十以上ある西岸の入植地の圧倒的部分は温存されます。シャロン首相は西岸最大のマアレアドミム入植地で新たに三千五百戸の住宅を建設し、エルサレムに併合する計画を公言しています。

 また「分離壁」の建設では、イスラエル政府は七月、東エルサレム周辺での最終的な壁の建設ルートを決定しました。完成すれば東エルサレムは分断され、同地に住むパレスチナ人の四分の一に当たる五万五千人が西岸側に追いやられることになります。


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