2005年8月11日(木)「しんぶん赤旗」

社会保障費2200億円圧縮

来年度概算要求基準

総選挙控え首相指示

自公と民主 抑制を競う


 小泉内閣は十一日、社会保障費の二千二百億円圧縮を柱とする二〇〇六年度予算概算要求基準(シーリング)を閣議了解する方針です。小泉首相は郵政民営化などをめぐり「小さな政府」をめざすとしています。予算面でも国民生活にしわ寄せすることが、小泉流の「小さな政府」づくりであることを改めて示しています。


■きょう閣議了解

グラフ

 小泉首相は総選挙(九月十一日投票)に向けて来年度予算を小泉「改革」の総仕上げと位置付けています。首相は解散翌日の九日、首相官邸に谷垣禎一財務相を呼び、概算要求基準について、高齢化に伴い一兆円規模の伸びが予想される社会保障費の自然増を二千二百億円圧縮するよう指示しました。

 これを受け、経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は十日、予算編成の方向性を示す「予算の全体像」を取りまとめ。いっそうの歳出削減をうたいました。

 小泉内閣は内閣発足後初の予算編成となった〇二年度予算概算要求基準で社会保障費の三千億円圧縮を打ち出しました。その後、毎年の概算要求基準に社会保障費の二千二百億円圧縮を連続して盛り込んできました。

 一方、民主党は「各年度の社会保障に係る予算の伸び率は、GDP(国内総生産)の伸び率以下に抑制する」(「財政健全化プラン」の中間報告)方針。社会保障費の抑制をめぐっても、自民、公明の小泉与党と民主党の競い合いとなっています。

■“小さな政府”を口実に切り捨て

 社会保障関係費の自然増を二千二百億円圧縮するように―。小泉首相の指示は暮らしを直撃します。

 二〇〇五年度予算の場合、具体化されたのは、介護保険の施設入所者に食費・居住費の自己負担を求める弱者いじめでした。

 もっと大幅な圧縮案が経済財政諮問会議などで議論されています。社会保障関係費の伸びを名目経済成長率に連動させて抑制する手法です。財務省はこの手法で来年度予算の社会保障費の自然増分を四千億―五千億円圧縮することを主張。七十歳以上の高齢者の医療費自己負担(現行一割)の二―三割への引き上げなどが検討されてきました。

 社会保障費の伸びを経済成長の伸びにあわせて抑制し、マイナス成長なら社会保障費もマイナスという考え方は、もともと「小さな政府」を求める財界の要求です。民主党も財界の主張に同調しています。

 「小さな政府」づくりを口実にした社会保障切り捨ての競い合いに、厳しい審判が必要です。(山田英明)


▼概算要求基準 翌年度の予算編成にむけた各省庁の予算要求にたいし、あらかじめ最高限度額を示したもの。天井を意味する「シーリング」ともいいます。経済財政諮問会議(議長・首相)での議論を経て閣議で了解。各省庁はこの基準にそって八月末までに予算を要求。財務省の査定を経て年末までに政府予算案を決めます。


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