2005年7月28日(木)「しんぶん赤旗」

公務員の氏名は非開示なの?


〈問い〉 町の説明会で、「建設省審議官が、(知事認可の)区画整理事業は止めることができないとのべた」と町長が発言したので、「その役人の氏名を教えて」と言ったら個人情報保護法を盾に拒否されました。公務員の氏名は非開示となる個人情報ですか?(広島・一読者)

〈答え〉 公務執行にかかわる公務員の氏名については、原則公開とすべきです。

 公務員の役職や氏名は、公務を遂行した者を特定し、その責任の所在を明示するためであり、私生活にかかわる私人としての個人に関する情報にはあたらないからです。

 こうした考え方は、判例や地方自治体の条例などでも示されています。また政府も氏名の開示範囲を広げる方向を打ち出しています。

 情報公開法の見直しを検討してきた総務省の「情報公開法の制度運営に関する検討会」は、3月「報告」を提出しました。「報告」は、法改正の見送りを提言するなど問題を含んでいますが、公務員の氏名の開示範囲について、「職務遂行にかかる公務員の氏名については、特段の支障の生ずるおそれがない限り公開する方向で統一した取り扱い方針を明らかにすること」を提言しています。現在、総務省は提言を実施する作業を進めています。

 「報告」の背景には、各省庁によって氏名の開示範囲が異なっているという問題があります。公安調査庁は課長以上。警察庁は課長補佐以上。法務省、財務省、外務省、文科省、農水省は係長以上。経産省は常勤職員(機器操作職員等を除く)。内閣府、厚労省、国交省、環境省は常勤職員。総務省は全職員(前出「検討会」資料)となっています。

 開示範囲にばらつきがでるのは、情報公開法では「個人に関する情報」のうち「慣行とされ、又は公にすることが予定されている情報」は開示するとしていますが、その基準を各省の判断で編集し、一般向けに発行されている職員録に氏名を記載しているか否かなどに置いているためです。

 今年は、情報公開法の施行4年で見直しの年です。こうした措置を運用の改善にとどめず、法改正で、公務遂行にかかわる公務員の氏名の原則公開、「知る権利」の明記など、不十分な情報公開法を充実強化することが必要です。(稲)

 〔2005・7・28(木)〕


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