2005年7月28日(木)「しんぶん赤旗」

主張

均等法の見直し論議

「国際的な指摘」いうなら


 厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会が、男女雇用機会均等法施行二十年に入り、「均等の確保を徹底するため必要な法的整備を行う時期にきている」とする審議状況の報告をまとめました。

 一九八五年制定の均等法は九七年の改正で、それまでの退職・定年などに加え、募集・採用、昇進など重要な部分の差別も禁止しました。しかし、差別是正は、「全体的に改善のテンポが緩やかであり、国際的な場での指摘もなされている」として、法整備を推進する方向です。

■事実上の不平等広がる

 改善の遅れは、賃金の男女格差にもあらわれています。女性労働者の平均賃金は、男性の67・6%(二〇〇四年)であり、一九八五年の59・6%と比べ、亀のような歩みです。

 しかも、これはパート労働者を除く統計です。パートの女性労働者の賃金は、女性一般労働者の賃金の65・7%です。この人たちを含めれば、男女格差はより大きくなります。低賃金のパートは、女性労働者の39・9%を占め、八五年の22%と比べ、割合は二倍になっています。

 日本では、均等法制定と同時に女性差別撤廃条約を批准しました。条約は、女性差別の撤廃を法的レベルだけでなく現実の社会で実現することを求めています。

 制度的には前進している均等法をなお改正する必要があるのも、女性差別撤廃条約が求める社会的な平等を実現する必要があるからです。

 その点で報告が「国際的な場での指摘」にふれているのは重要です。

 分科会には、労働者代表の要望で、女性差別撤廃条約など日本が批准した国際条約にもとづく実施状況について、国際機関からの見解・勧告が資料として提出されました。

 その一つ、「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解」は、「日本では、同じ労働をしていても男女の賃金に事実上の不平等があること、また、多くの企業では、女性には専門的な仕事に昇進する機会がほとんどないという雇用慣行が続いていることに懸念を有する」とのべています。

 女性を差別する「事実上の不平等」「雇用慣行」にまで踏み込む法整備が強く求められます。報告書に盛り込まれている、コース別雇用管理による女性差別の禁止やパートの待遇問題も、「事実上の不平等」の是正として、女性差別撤廃委員会などから勧告されています。

 日本は欧米に比べ、出産・子育て期に女性が離職する傾向が強くなっています。六歳未満の子どもがいる母親の就業率は日本が36%。スウェーデン78%、アメリカ62%、フランス56%と比べ格段の低さです。

 背景には、妊娠・出産を理由にした退職勧奨やパートへの転換、労働者の意思を無視した異動、賃金をさげるなどの不利益扱いがあります。均等法が禁止している解雇だけでなく、欧米では不利益扱いを規制する法整備が当然になっています。欧米の子育て期の女性の就業率が高くなってきたのは、「女性の登用と同時に進行」(〇四年版働く女性の実情)したことも指摘されています。

■差別撤廃を急いで

 国内外の批判を正面から受け止めた差別撤廃が強く求められています。日本共産党は、党綱領でも「女性差別の面でも、国際条約に反するおくれた実態が、社会生活の各分野に残って、国際的な批判を受けている」と指摘し、「男女の平等、同権をあらゆる分野で擁護し、保障する」ために全力をあげています。


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