2005年7月14日(木)「しんぶん赤旗」

韓国の北朝鮮電力提供

核問題解決へ「主導的役割」


 韓国の鄭東泳・統一相が十二日に明らかにした北朝鮮への二百万キロワットの電力支援案は、六カ国協議で北朝鮮が求めるエネルギー支援と「安全の保証」のうち、エネルギー面で韓国が主要な役割を果たすことで核開発問題の解決を促そうというものです。鄭氏は記者会見で「韓国政府の主導的役割」を強調し、電力支援は「他国に協調を要請するものではない。韓国政府が単独で行うものだ」と語りました。

 鄭氏は電力支援の意味について「韓国政府が第三回六カ国協議で提案した多国間の『安全の保証』と関係各国間の国交樹立など、核問題解決のためのさまざまな要素と(電力支援)を結び付けることができる」と述べ、北朝鮮をめぐる問題の包括的な解決をめざすものだとの立場を表明しました。

 また、「朝鮮半島統一と経済共同体の建設という長期的な観点から必要なインフラ」だとも強調しました。

 二百万キロワットは、一九九四年の米朝枠組み合意で北朝鮮に供与することになっていた軽水炉型原発の発電規模です。韓国による電力支援は、北朝鮮に原発を供与すれば核開発継続につながりかねないと懸念する米国と、電力不足に悩む北朝鮮の双方の立場を考慮したものといえます。

 韓国側の出費は、送電・変電設備、発電所建設に三兆五千億ウォン(約三千五百億円)、毎年の発電費用に一兆ウォン。巨額の費用を投じても支援に乗り出す理由について、鄭氏は「核問題で朝鮮半島の危機が続けば、(韓国の)経済・社会の安定が揺らぐ」と切実さを強調しました。

 韓国政府は、電力支援実現のためには次回の六カ国協議で北朝鮮が核放棄に同意する内容の合意が必要だとしています。直ちに設備工事に着工すれば二〇〇八年以降に送電が可能だといいますが、その時点で核施設の廃棄が実現していることが前提とされます。韓国国会の同意など、国内を説得する必要もあります。

 韓国経済新聞十三日付は「(北朝鮮は)韓国にエネルギー面で従属するのではないかという不安感を感じるだろう」と、北朝鮮にとっても大きな決断が必要になると指摘しました。(面川誠)


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