2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」

橋梁談合

公団元理事ら逮捕

「官製談合」の解明重要に


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 日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事で、談合組織「K会」「A会」加盟各社が公団OBの主導で入札談合を繰り返していた疑いが強まり、東京高検は十二日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、公団元理事の神田創造(70)、三菱重工業前橋梁部次長の田中隆(54)両容疑者ら五人を逮捕しました。容疑者は、公団本体から予定価格など秘密情報を入手した疑いが強く、「官製談合」の実態解明が重要になっています。

 神田容疑者は大手橋梁メーカーの横河ブリッジ顧問。ほかに石川島播磨重工業前橋梁営業部長の清宮正美(49)=国発注工事の独禁法違反罪で起訴=、横河ブリッジ理事の横山隆(59)=同=、川田工業前橋梁営業部東京営業部長の清水賢一(58)=同=の各容疑者も逮捕されました。

 調べによると、K会、A会加盟の計四十七社(二○○三年度は四十九社)は昨年度までの二年間、公団が発注した鋼鉄製橋梁工事の入札で、神田容疑者が割り振る受注予定社に落札させることを合意し、競争を制限した疑い。

 工事の発注規模は二年間で約千三百億円。このうちK会、A会の加盟社が95%を受注しました。

 公正取引委員会が算出した談合による不当利得額は工事金額の18・6%で、これで計算すると二百三十億円が国民の通行料などから不当に支払われたことになります。

 神田容疑者は毎年度、田中容疑者の助言や、OBの親睦(しんぼく)団体「かずら会」幹事らが公団各支社から集めた情報を基に配分表を作成。清宮容疑者がK会、A会加盟の営業担当者に連絡していました。横山、清水両容疑者はそれぞれK会、A会の常任幹事でした。容疑者はいずれも大筋で容疑を認めています。事件は国発注工事から道路公団OB主導の談合事件に発展しました。

■天下り続けた責任は重大

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員(金権・腐敗政治追及委員会責任者)の話 談合に深くかかわってきた道路公団元理事を含む関係者の逮捕は当然です。これは、五月に発覚した国発注の橋梁談合での逮捕に続くもので、政・官・業癒着構造の根深さを示すものです。天下りを背景にした「官製談合」の疑いは濃厚で、その徹底究明が必要です。

 逮捕された人物は、経団連役員企業の幹部です。その経団連はさきに事件摘発を受けていったん「天下り自粛宣言」の検討を表明しましたが、すぐ撤回しました。まさに無反省ぶりを示すものです。天下りを続けてきた国と公団側の責任は、ますます重大です。

 このような事件を根絶するためには、公共工事受注企業の政治献金を禁止すること、天下りを禁止すること、さらには企業・団体献金を全面的に禁止することが必要です。


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