2005年7月9日(土)「しんぶん赤旗」
英テロ 死者50人超す
負傷700人 時限爆弾か
車両に なお10人以上
【ロンドン=西尾正哉】ロンドンの市バスと地下鉄が七日朝、連続して爆破された同時テロ事件で、死者が少なくとも五十人以上に上ることが明らかになりました。事件から一夜明けた八日は鉄道網、バス路線はほぼ普段どおりに動き出し、地下鉄は破壊された一部路線を除き徐々に復旧しつつあります。
警察は、八日も市民に対しなるべく出勤せずに自宅に居るように呼びかけていましたが、多くの市民が普段どおりの生活をすることがテロに屈しないために大切だとして勇気を奮い起こして出勤したり、通学しています。
ロンドン警察当局によると、犠牲者は五十人以上に上るとし、爆破され地下鉄内に取り残された車両に近づくことが困難なため、最終的な人数はまだわからないと発表しました。破壊された車両にまだ十人以上の犠牲者が残されているといいます。負傷者は七百人に上り、二十二人が重傷といいます。
英国で最大級の犠牲者をだすテロ事件となった同時多発テロは、通勤で込み合う午前八時五十分ごろから約一時間の間に地下鉄三カ所とバス一台で起こりました。地下鉄は車両が狙われ、エッジウェアロード駅構内、ラッセルスクエアとキングズクロス駅の間、オールドゲートイースト駅とリバプールストリート駅の間の三カ所で爆破。バスは大英博物館付近の広場で爆破されました。
ブレア首相は、犯人に必ず法の裁きを受けさせると表明。捜査を進めるロンドン警察当局は、十ポンド(約四・五キログラム)以下の爆弾が爆発したとの見解を公表。デイパックの中にも入れられる大きさだといいます。米紙ニューヨーク・タイムズは、自爆テロではなく時限装置で爆発させたと報じています。
この事件に関し、これまで知られていなかった「欧州アルカイダ秘密組織」と称する団体が七日、ウェブサイト上で犯行声明を出しました。クラーク内相は八日、「声明は重大だ。詳細に捜査している」と表明しました。ストロー外相も「アルカイダが関与する攻撃に手口が似ている」と指摘しています。