2005年7月8日(金)「しんぶん赤旗」

主張

多発する米軍犯罪

根絶には基地なくす以外ない


 在日米軍の犯罪・事故は、一九五二年から二〇〇四年までに、二十万一千件を超えています(沖縄返還=七二年=前の沖縄分は含まず)。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の要求で防衛施設庁が提出した資料であきらかになりました。米軍犯罪は、九五年九月の沖縄少女暴行事件のあとやや減る傾向にあったものの、〇二年以来、再び増加してきています。最近も沖縄で少女わいせつ事件がおこり、県民の怒りをかっています。 基地があるところではどこでも、住民は、米軍犯罪・事故におびえて生活することを強いられています。一刻も放置できない問題です。

■卑屈な日本政府

 二十万一千件の内訳は、「公務中」の犯罪・事故四万七千二百十八件、「公務外」が十五万四千二百六十三件です。これは、政府が掌握した数です。被害者が「泣き寝入り」せざるを得ず、表面化しなかった事件も数多くあります。

 犯罪・事故多発の背景には、日米地位協定が、米軍人の犯罪・事故に甘いとりきめになっており、米軍優先になっている問題があります。

 地位協定第一七条は、「公務執行中」の犯罪は米軍に第一次裁判権があることを規定し、それ以外は日本に第一次裁判権があると規定しています。指揮官が発行した公務証明書をもってさえいれば「公務中」です。日本側が「反証」などできませんから、米軍いいなりです。

 「公務中」の犯罪・事故は、米軍が第一次裁判権を行使します。しかし、米軍事裁判所は、軍の秩序維持のためには厳格ですが、日本国民への犯罪には寛容です。厳しく処罰すると米兵が委縮するからというのです。実態もそうなっています。九八年から〇四年まで「公務中」に犯罪・事故をおこした米軍人は二千二十四人です。このうち、「軍事裁判を受けたのは一人」(大林法務省刑事局長)で、行政処分にすぎない司令官による懲戒処分が三百十八人です。残り千七百人を超える軍人は処分なしです。

 「公務外」の犯罪・事故は、日本が第一次裁判権を行使することになっています。しかし、政府が裁判権を放棄し、米軍に処分を委ねることが少なくありません。二〇〇〇年七月、沖縄市で海兵隊員が住居に押し入って少女にわいせつ行為をした事件で、政府は、第一次裁判権を放棄しました。これはほんの一例です。

 こんなことが続くのは、「日本にとり物質的に重大な意味を持つものでない限り、第一次裁判権を放棄することに同意している」(五七年、フランク・ナッシュ米大統領特別顧問の大統領への報告)という、日米両政府間の密約があり、いまも生きているからです。住居侵入、わいせつ、暴行、窃盗などが放棄の対象とみられます。

 米軍犯罪・事故を減らすために、屈辱的な密約の撤廃など日米地位協定の抜本見直しが必要です。

■さらに増加する危険も

 沖縄に二万八千人、本土に一万四千人、これだけ多くの米軍人が駐留していること自体、犯罪・事故の重大要因です。とくに、沖縄は、基地が集中し、海外の戦争に投入される不安とストレスをかかえた若い海兵隊員が多く、犯罪・事故も多発しています。米軍再編がすすみ、さらに日本が先制攻撃戦争の足場にされていけば、米軍の犯罪・事故は増加するおそれが大きくなります。

 米軍犯罪・事故を根絶するためには、米軍基地を撤去させる以外に道はありません。


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