2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」

28万円の吃音補助削る都政

自助団体「ぜひ再開して」


 言葉が出にくかったり途中でつまったりする言語障害の一つ、吃音(きつおん、どもり)。「オール与党」が支える石原都政の福祉切り捨ては、年間予算わずか二十八万円の吃音者にたいする補助事業まで削っています。

 「この二十八万円は、ほんとうに削られなければならなかったのか。必要なときに言葉がでない吃音は、社会的生命にかかわる問題なんです」

 吃音の克服をめざす自助グループ、東京言友会(会員数二百人)の綾部泰雄会長はこう訴えました。

 「電話で名前や社名がいえない。いつも恐怖を感じる」「コミュニケーションがとれず孤立」「どもって、恥をかく夢を毎晩のように見てうなされた」…。会のホームページには、吃音者たちの悩みや不安がつづられています。ですが、吃音は障害者認定の対象ではないため、行政の手が届かず“谷間の障害”といわれてきました。

 “谷間の障害”に光をあてたのが、当時の革新都政です。一九七二年に始まった吃音者発声訓練委託・補助事業は、吃音者が言葉や発言に対する不安を減らし、社会生活への自信と勇気を育むことを目的としています。

 東京言友会は委託・補助事業開始以来、だれでも無料で参加できる「吃音者講習会」を毎週開催してきました。吃音について知り偏見や誤解を解く講演やカウンセリング、苦手な場面を練習するインタビューゲームなど多彩な内容です。

 「どもることは弱点じゃないと思えるようになり、言葉も出やすくなった」「何かにつけ吃音のせいにしていた自分に“心の殻”を開かせてくれた」――講習会に参加した人たちの声は、この場のかけがえのなさを伝えています。

 ところが、唯一の公的支援であり三十一年間続いたこの事業を、石原都政は財政難を理由に二〇〇三年度で打ち切りました(九七年まで委託事業、以後補助事業)。理由は「(少額補助は)事務が煩雑化して効率上問題」だというのです。この補助の切実さを議会で取り上げ補助の復活を求めたのは、日本共産党だけでした。自民、民主、公明、生活者ネットの各党は、少額補助などの福祉切り捨てを盛り込んだ都の二次にわたる「財政再建推進プラン」に賛成しています。

 「都知事とじか談判してくれたり、共産党にはお世話になりました」と綾部会長。「独りで苦しんでいる吃音者はまだたくさんいます。その人たちがコンプレックスを克服し、自信と希望をもって生きていくために、都の補助は欠かせません。ぜひ補助を再開してほしい」と訴えます。

 東京言友会と一緒に運動をすすめてきた障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会の市橋博事務局長の話。「都は、金がないといってわずかな福祉予算まで情け容赦なく切り捨ててきた。その一方で、都議会議員が一人百四十八万円もの豪華税金旅行(視察)をしたり、臨海開発に二兆円ものお金をつぎ込む。ひどい都政です。これらにくみしなかったのは日本共産党だけでした。都政を変えなければ、私たちは生活と権利を守れない」


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