2005年6月30日(木)「しんぶん赤旗」

主張

東京の教育

子どもを害する暴走の阻止を


 「東京のようになったら大変だ」―いま東京の教育の異常さが、各方面から指摘されています。

 卒業式や入学式は、都が決めた方針でがんじがらめです。壇上に何をおくのか。「日の丸」の掲げ方や「君が代」斉唱の仕方。生徒の座り方。先生の起立、着席のタイミング。こと細かく「通達」で定め、従わない先生には処分を強行。

 「君が代」が好きなあるベテラン教師は「自主的に行動することの大切さを教えてきた。それに反する」と強制に反対。処分されました。

 最近の「朝日」調査では都民の61%が都のやり方に反対しています。

■自・公・民が拍車かける

 強制は卒業式にとどまらず、学校の日常にひろがっています。管理職の評価で学校の先生の処遇を左右する「人事考課制度」を導入。先生は子どもより管理職の目が気になり、75%が「意欲が高まったと思えない」としています。さらに都は、上意下達をつよめるため、主幹という新たな管理職までつくりました。

 校長や教職員が、気が付いたことを率直に語り合い、協力しあってこそ、子どものための教育ができます。命令や強制でしばられては、それができません。いちばん被害をうけるのは子どもたちです。

 東京の教育の異常さの背景には、石原都知事の姿勢があります。

 「東京は、国が何だろうと、……日本人である都民というのをこうやって東京都の責任で教育し直していく」(二〇〇三年二月十二日、都議会本会議答弁)

 自分の思いどおりの教育を上からの命令で行うという、民主主義に反した発想です。その本音は、侵略美化など極端な右翼的立場を教育にもちこむことにほかなりません。

 知事の暴走にたいし、自民、公明、民主の各党は、アクセルをふみ、拍車をかけてきました。

 卒業式をしばった都の方針は、民主党都議の「式典運営指針などを制定すべきだ」という質問をうけたもの。公明の都議が「従わない教員がいる場合、厳正に対応すべきだ」と求めると、都教委は「職務命令違反」で処分すると答弁。自民党は、何人もの都議がくりかえし強制を強めよと質問しました。

 教育内容への介入も乱暴です。校長会のモデル授業にもなっていた七生(ななお)養護学校での性教育にたいし、民主党都議が、事実をわい曲して一方的に攻撃する質問をし、都が「指導、助言」を約束(○三年)。これを発端に、性被害に遭いやすい子どもたちのために、保護者と緊密に連携してすすめられてきた性教育を、根拠もなく「不適切」と決めつけ、教師への処分、教材の没収にすすみました。あまりのひどさに、東京弁護士会は、「子どもの学習権およびこれを保障するための教師の教育の自由を侵害した重大な違法がある」として、「人権侵害」をやめるよう、都教委に「警告」を出しています。

■教育をたて直す力

 日本共産党都議団は、石原都政の暴走と一貫して対決。「ただ服従を強いるような人権感覚のない教育を認めるわけにいかない」とくりかえし追及しました。この質問は、「注目すべきやり取りがあった」(『サンデー毎日』四月十七日号)とメディアにも取り上げられました。

 三十人学級でも、実現をめざす日本共産党と、父母の願いと全国の流れに背をむける自・公・民―「オール与党」との違いは鮮明です。

 都議選での日本共産党の前進は、都の教育をたて直す力となります。


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