2005年6月23日(木)「しんぶん赤旗」

国保料 一気に3〜4倍

京都

年金生活者を直撃


 番号札を渡され、パイプいすに座るお年寄り。「待ち時間は三時間」の張り紙――。まるで病院の待合室のようです。京都市の各区役所には連日、国民健康保険料の減免申請や納付相談に市民がつめかけ、この一週間で一万人を超えています。小泉内閣によって五百万人の高齢者が今年から新たに課税されたり、増税になりました。加えて京都市では、国保料の値上げとともに今年度から「所得割」の算定方式を変更したため、年金生活の高齢者を中心に納付額が大幅に引き上げられました。(京都府・加藤貴顕)

窓口は大混乱 各地で相談会

 「なんじゃこりゃ。計算間違いか」。驚き南区役所を訪ねた女性(77)は、腰に持病のある夫(78)と二人暮らしで、収入は夫婦で月二十七万円弱の年金だけです。「昨年は年十万円弱だった国保料が今年は二十七万六千円。年金も所得も全く変わらないのに…」と納付通知を握りしめました。年金一カ月分が国保料で消えてしまいます。

 左京区役所に来たものの「二時間待ち」と聞かされ、あきらめて帰りかけた四十代の女性。パートで母子家庭を支えています。「昨年は年間四万円ほどだったのに、四倍以上の十七万になった。とてもじゃないけど払えない。窓口の職員に『月末に引き落とさないでよ』と言ってきた。あまりにもひどい仕打ちじゃないか」

 せきを切ったように怒りをぶつけます。

国の増税に加え

 南区の夫(72)、妻(71)の世帯は、国保料が年九万五千二百円から二十二万七千五百十円と二倍以上に跳ね上がりました。しかしこの夫婦の負担増は国保料だけではありません。府市民税の納付通知が新たに来たのです。

 小泉内閣が一月から実施した公的年金控除の縮小や老年者控除の廃止で、収入が増えてもいないのに「所得」が増え、新たに課税されたり増税になりました。住民税非課税の高齢者世帯が課税世帯になることは、介護保険の利用料など自己負担の増額とも連動します。

 この増税に怒りが渦巻いていた二月、無慈悲にも国保料の値上げを提案したのが京都市の桝本頼兼市長です。日本共産党市議団は、国保料が増税と連動して引き上げられていくことを指摘し、“雪だるま”式の負担増になると批判しましたが、自民、公明、民主の賛成で強行されました。

 京都市の国保世帯は年々増え、全世帯の四割以上、二十七万世帯に。そのうち今回値上げされたのは二十万世帯にのぼります。住民税非課税の五万八千世帯にまで「所得割」を課し、大幅な値上げを押しつけたのです。

ビラ見て次つぎ

 京都社会保障推進協議会や日本共産党では、相談会を開いています。

 南区社保協の相談会には、ビラを見たお年寄りらが、入れ代わり立ち代わり相談に来ました。南区生健会に相談に来た女性(71)は、精神障害をもつ息子(35)との二人暮らし。所得を申告すれば法定減額が受けられるケースであることがわかり、安どの表情を浮かべました。相談会では、法定の二割減額を積極的に活用するよう話しています。

 「年寄りははよ死ねと言うことや」。お年寄りは口々に言います。日本共産党や民主団体では、区役所での宣伝や相談会で、小泉内閣と京都市による“年寄りいじめ”を語り、一緒に立ち上がろうと呼びかけています。


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