2005年6月16日(木)「しんぶん赤旗」

京都メカニズムとは?


 〈問い〉 地球温暖化防止のための京都メカニズムとはどういうことですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 地球温暖化対策のため1997年、京都市で、国連気候変動枠組条約(COP)第3回締約国会議が開かれました。「京都メカニズム」とは、ここで採択された「京都議定書」で定めた、温室効果ガス削減を“より柔軟”に行うための仕組みです。議定書が定めた先進国の温室効果ガスの排出削減目標を国内で達成が困難のときは途上国でCO2吸収に役立つ植林をしたり(「クリーン開発メカニズム)、他国から排出削減量を買うなどしたり(先進国間による「国際排出権取引」や削減事業の「共同実施」)して代替できるというものです。

 日本の目標達成には、排出量の8割を占める企業・公共部門での削減がカギですが、各業界では目標達成が困難として、いま、いっせいに「京都メカニズム」の活用に向かっています。

 海外からの排出枠の調達は、06年〜12年度で、日本の削減目標の1・6%分に相当する1億トンを予定。すでに東京電力、三菱商事、三井物産、新日本石油、トヨタ、ソニーなど35社と国際協力銀行、日本政策投資銀行が共同で「日本温暖化ガス削減基金」を設立しています。

 たとえば、東京電力は南米チリでの豚舎から放出されるメタンガスを削減する事業で年間約41・2万トン(CO2換算)、中部電力がタイでのモミ殻発電事業で年間約14・6万トン(同)、電源開発がタイでのバイオマス発電、チリでの天然ガスへの転換プロジェクトで年間約7・4万トン(同)を見込み、次々と政府の承認を受けています。

 しかし、京都メカニズムはあくまで補足的な施策です。日本国内での抜本策=温室効果ガス排出量の8割を占める産業・公共分野の思い切った削減が求められます。

 そのために、少なくとも削減する総量を定め、事業所ごとに排出量を算定し、事業所の削減計画と達成状況を公表する制度、この制度を実施するための協定を事業所と国・地方自治体との間で締結する仕組みを導入すること、自然エネルギーの普及、環境税等の経済的手法の活用をふくめ、実効ある対策にふみだすときです。(梅)

 〔2005・6・16(木)〕


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