2005年6月5日(日)「しんぶん赤旗」

主張

低下する出生率

フリーター増加が少子化促進


 少子化傾向が止まりません。厚生労働省の二〇〇四年人口動態統計によると、一人の女性が生涯に産む子どもの平均数(合計特殊出生率)は、過去最低だった〇三年と並ぶ一・二九でした。

結婚・出産の“先送り”

 年代別の出生率をみると、三十―三十四歳では上昇に転じ、三十五歳以上は連続して上昇しているのにたいし、目立つのは二十代までの女性が低下していることです。

 厚生労働省は、〇四年時点で三十五―三十九歳(一九六五―六九年生まれ)の世代でみると一人の女性が生涯に産む子ども数は約一・五三と推計しています。ただ、〇三年時点で同年齢層の女性が生涯に産む子ども数は、約一・五五と推計されており、少子化傾向は変わりません。

 厚生労働省は、〇四年の合計特殊出生率について、出産を終えた四十代と結婚・出産を「先送りしている」二十代の影響を受けて、低めに出ているとしています。

 結婚・出産を“先送り”している要因はさまざまでしょうが、一つが若者の雇用の悪化です。

 内閣府の少子化社会白書は、正社員に比べ、年収が約三分の一にすぎないフリーターの増大が、「男女ともに、結婚に対してマイナスへ作用している」とのべています。

 五年前の政府の調査では、男性の場合、常用雇用に比べ臨時雇用の未婚率がどの年齢層(五歳きざみ)でも高くなっています。女性の場合は逆で、既婚者がパートなどで働く場合が多く、常用雇用の未婚率がどの年齢層でも少し高くなっています。

 ところが、最近の民間の調査リポートによると、男性だけでなく、女性の場合も、フリーター(二十―三十四歳で非正規社員など)は正社員に比べ、既婚率(未婚だった人の五年後に結婚している割合)が低くなる“異変”が起こっています。

 フリーターが結婚する割合は正社員の四―六割(男性)か、六―八割(女性)になるとしています。フリーターが結婚できないことにより、生まれる子どもの数が毎年最大で二十六万人も下押しされていると試算しています。

 フリーターの七割は正社員を希望しています。この希望を生かすことこそ政治の責任です。

 同時に、「晩婚化・晩産化」が進んでいるから“少子化やむなし”とはいえません。

 内閣府の「日本・スウェーデン家庭生活調査報告書」によると、第一子出生時の女性の平均年齢の推移をみると、日本とスウェーデンでは大きな違いがありません。二十年前両国の合計特殊出生率が同じであったにもかかわらず、スウェーデンは盛り返し、日本は低下したままです。

 スウェーデンでは、労働時間が短く、夕方五時か六時には両親とも帰宅し、家族そろって食事をとる、女性はパートタイムで働く人も多いが、そのほとんどが正規雇用。育児休暇も賃金が保障されているので安心してとれる―。そんな人間らしい生活と労働の保障が、少子化の歯止めとなっています。

教育費の負担増やめて

 子育てや教育にお金がかかりすぎることも、諸外国にはない日本の特徴です。政府の調査でも、理想の子ども数を持てない最大の理由となっています。そのことが明らかなのに、今年も国立大学の授業料を値上げしました。少子化対策に本気で取り組まないばかりか、逆行することを平気でやっています。そうした姿勢はいますぐ改めるべきです。


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