2005年6月3日(金)「しんぶん赤旗」

『日本外交のゆきづまりをどう打開するか』

不破議長の講演ブックレットきょう発売


 五月十二日に開かれた日本共産党時局報告会での不破哲三議長の講演「日本外交のゆきづまりをどう打開するか 戦争終結60周年 アジア諸国との最近の関係をめぐって」が、ブックレットとして刊行され、きょう三日発売されます。

 不破議長の講演は、戦後六十周年にあたり、日本の侵略戦争と植民地支配の歴史に正面から向き合うよう国民に問いかけたものです。

 全体の構成は、

 一 問題の提起――日本外交のゆきづまりの根源はどこに?

 二 日本の戦争とは何だったのか?

 三 日本の戦後政治はこの戦争にどんな立場をとってきたか

 四 小泉内閣の問題――靖国参拝と教科書問題

 五 侵略戦争と植民地支配の歴史に正面から向き合おう

 六 三つの提案――アジア外交で平和の大戦略を確立するために

〔補注〕(別項)

 となっています。

 時局報告会には、在日各国大使館や内外のメディア関係者なども多数参加して大きな反響をよび、電話、メール、その他で感想も多数よせられています。

 ブックレットは、党出版局発行で、八十ページ・定価三百五十円です。

 ご購入については、お近くの党事務所にお問い合わせください。

新たに書き加えた不破議長執筆の四つの〔補注〕

 ブックレット刊行にあたっては、不破議長が、本文に五つの注をおぎない、四つの〔補注〕十八ページをくわえて、編集しました。

 〔補注〕の内容はつぎのとおりです。

1 「自存自衛」は侵略主義の旗印

初めは東南アジアへの武力行使の正当化のため/ついで対米英戦争の主要なスローガンに/「宣戦の詔書」における「自存自衛」/「宣戦の詔書」に見る日本の戦争の歴史

2 靖国神社と遊就館の歴史

3 遊就館展示が描く戦争史

[満州事変]/[支那事変]/日米開戦の経緯/[大東亜戦争]/終戦

4 「侵攻」と「進出」(「つくる会」の用語法)


戦死した祖父、難民死した妹、家族史をかさねてきいた

靖国神社が侵略戦争美化の役割、多くの国民には知られていない

参加者とCS視聴者の感想文(千余通)から

勇気と確信得た

 ○胸がすかっとしました。涙があふれ出るほど感動しました。お話が終わった時、CS通信を聞いていた地区事務所にいた人たちは、大きな拍手をしました。アンコール。もっと聞きたい、といっせいに声があがりました。(神奈川・女性)

 ○七十年の生涯で、最高の感動の一夜でした。日露戦争百周年、三十八歳で戦死した祖父、五十九年前に四十三歳で旧ソ連で抑留生活中に死んだ父、一歳半で平壌で難民死した妹と、六十八歳の祖母の家族史と重ね、感無量で聴くことができました。(東京・男性)

 ○胸をはってアジアで世界で生きていける光を見いだした今日のお話でした。勇気と確信をもらった時局報告会でした。(東京・男性)

戦争の真実納得

 ○戦争はなんだったのか、戦争中、「聖戦」と信じて軍需工場で、兵隊で、また空襲の中で命も失う覚悟でくらしたころ、本当の事を知らせられず、また教育されて、その気になっていた。本日のお話、戦争の真実を本当に納得できる、涙が出るほど感動しました。(石川・男性)

 ○冒頭での“世界でただ一つ、日本だけが自国の犯した侵略戦争をきちんと認識していない”との指摘は印象的でした。ドイツは数十年という国民的議論の蓄積がある、とのこと。日本は著しく遅れていることが実感できました。(神奈川・男性)

国の孤立が心配

 ○日本が起こしてきた戦争の違法性は以前から分かっていましたが、歴代の首相たちがそれを認めていなかったのは初めて知りました。しかも、罪に問われていた政治家たちが、戦後になって、幹部クラスの座にいることにおどろきました。戦争の歴史を知っておく必要があると改めて、感じました。(富山・青年)

 ○侵略戦争を認めない人たちに国際政治上の正義、不正義を見極めることはできないという不破さんの言葉が心に残った。今のまま自民党、公明党の政治が続いたら、今でも国際的に信頼されない日本が、まったく相手にされない孤立した国になってしまうことは明らかだと思う。(長野・女性)

議論起こす必要

 ○靖国神社、遊就館がネオ・ナチの思想と同じなかみで侵略戦争の美化をすすめる政治的役割を果たしていることは、多くの国民の間では知られていないことです。靖国参拝を支持している方のなかには、むしろ痛ましい戦争犠牲者へのヒューマニズムからその肯定の立場をとっていることが多いように思われます。この靖国神社の役割を語り、議論をおこしていくことが大切だと感じました。(青森・男性)

 ○父は北ボルネオで戦死しました。五歳であった私は、顔も声も覚えていません。戦地で飢え死にした百四十万人の中に父が入っていたことを、今日、不破さんの話で理解し、こんにちの靖国神社の果たす役割を知り、赦(ゆる)せません。父をうばった戦争に反対することが、私が共産党に入った理由です。平和な社会を子や孫のために残したい。(福岡・女性)

友好こそが英知

 ○「平和の大戦略」―最後の言葉だった。今回の話は日本外交の背骨を明確にした。それは一部の極右のもの以外は例外なく賛同するものと確信する。友好関係をきずくことこそ人類の英知であり、義務である。感動ワクワクである。(長崎・男性)

 ○平和の世界を展望し、二十一世紀の世界への私たちのすすむべき道がよく理解できました。戦後六十年、全国民的課題としてあの戦争が何だったのかを考えるときだと実感しました。(栃木・男性)

日本外交のアジアでの孤立を懸念

外国の外交団の感想から

 不破議長の講演での提起にたいして、南米のある国の大使は「外交には戦略が必要。日本の隣国が小泉首相の靖国参拝に同意しないことは当然ですが、アメリカをはじめ連合国にとってもいかに重大な問題かが提起されています。日本外交が戦後六十年を経て曲がり角に立っていることを実感しています」と語っています。

 国会での「日本EU対話」に参加した欧州議会代表団のあるドイツ出身議員は「日本の外交がアジアから孤立していることを懸念しています。外交ではまず隣国との相互理解と友好が肝心。ましてや植民地支配、侵略の歴史があるならなおさらです。この問題と正面から向かい合わなければならない、という根本的な提起がされています。その点では日本外交の転換は今日の課題だと思います」とのべました。

 アジアのある大使は、「英文で全文を読ませてもらいました。アジアの隣国と心をわってきちんとした友好の関係をつくるためにはどうすべきか。歴史問題、さらには靖国問題も深く分析している。本国政府にも報告したい」と話していました。

 また、時局報告会に出席できなかった在日外交官からも「演説の英語訳があればすぐに読みたい」という要望が党本部に寄せられました。それにこたえて、すべての在日大使館に今回のブックレットを英訳文を添えて送りました。

電話やメールで寄せられた感想から

小泉内閣の侵略戦争への無反省深くときほぐした

アジアのなかで平和に生きていくために何が必要かわかった

 ○インターネットで、リアルタイムで聞かせていただきました。日本国民へ、アジア、そして世界の政府と国民に向けた日本共産党の力強いメッセージだったと思います。日本がより良い未来へ向かうために、中国での反日デモをきっかけに、世界中で沸き起こっている日本(政府)への批判の根源に何があるのかを、ズバリ説き明かした「報告」だったと思います。

 ○歴史と事実に基づいて靖国神社や歴史教科書についてご説明いただき、アジアのなかで諸国民と平和に生きていくために何が必要か、心から訴えていらっしゃることがよく伝わりました。戦中を知る世代(1939年生まれ)の1人として、ドイツのように国民として議論をしていく義務があるというご指摘に感じるところがありました。(さいたま市・男性)

 ○靖国神社にたいして一定の認識をもっていましたが、不破さんの講演で、否定的な「運動体」として存在しているということを知り、深いものがあるんだと強く感じました。また、私は小学校の教育で、あの戦争で300万の人が死んだということは聞いたのですが、その多くは、軍隊で餓死であったということを聞き、がく然としました。(東京・足立区、56歳、男性)

 ○日本外交がなぜアジアや世界から「孤立」し、自主的でないのかが、大変に理解しやすかった。特に小泉内閣が最近アジア諸国から厳しく批判されている根本が侵略戦争への無反省にあることを歴史的に深く鮮明に解きほぐした素晴らしいお話でした。(札幌市・男性)

 ○「いま、日本の国民全体がこのことを正面から見つめるべき時だ」ということには本当に同感です。今年は戦後60年、メディアもいろいろな企画で戦争に触れています。しかし前から思っていたことですが、次第に少なくなりつつある戦争を知る世代が、戦争の悲惨を語るだけではいけない、ということです。(男性)


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