2005年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
葛飾ビラ弾圧初公判
被告男性意見陳述
私が何をした?
「ポストに投かんしただけで…」
「私が一体何をしたというのでしょうか。ビラをポストに投かんしただけです」――。東京・葛飾区マンションビラ弾圧事件の初公判(二十日)で意見陳述した男性被告(57)。日本共産党のビラを配った思いなどにふれながら、逮捕・勾留・起訴で奪われたものの大きさや弾圧の不当さを訴えました。
だんらん奪われた
男性が不当逮捕された日は、ちょうど長男が帰省してきた日でした。「久しぶりに家族そろっての夕食、団らんを楽しみにしていました。カニをさばき、鍋をつくるのが私の役割でした」
それが逮捕で一転します。「翌日、家宅捜索で我が家に多数の刑事が立ち入りました。妻は留守。子どもが受けた恐怖を思うといまでも心臓がどきどきします」「手錠をかけられた時の金属の冷たさ、ガチャという締める音、手首を締め付ける圧迫感が忘れられません。腰縄の屈辱感も一生忘れることができないでしょう」。眠ろうとする時に手錠の感触を思い出すといいます。
読んでもらいたい
なぜ日本共産党のビラを配布したのか。男性がその日配ったビラは、中越大震災の支援を報告したり、三十人学級実現、乳幼児医療充実などを求めるものでした。「多くの人の相談を受ける機会がありますが、お年寄りは福祉に対する負担が増える困難、不安、子育て世代の母親は教育問題が関心です」。ビラをぜひ読んでもらいたくて集合ポストではなく各戸のドアポストに投かんしました。
男性はさらに「共産党の政策を支持しています。平和の問題では、一貫して戦争に反対し平和を訴えてきた日本共産党の歴史には権威さえあります。これからも憲法を擁護し、平和と民主主義、基本的人権を守るために先頭で力を発揮してほしい」とのべました。
憲法で自由守って
|
男性は事件の当事者となって、あらためて憲法を学びました。いま憲法を誇りにしているといいます。「苦難と国内外の多くの犠牲のうえに国民がようやく手にした権利が基本的人権。国家による侵害は厳しく戒められています」。逮捕は、東京地裁八王子支部がビラ投かんを「政治的表現活動の一態様で、民主主義の根幹をなす」とした無罪判決の直後でした。今回の弾圧は、「憲法、国民の権利に対する警察・検察のあらたな挑戦」という怒りをあらたにします。
陳述の最後は、「裁判所は、憲法で私たちの自由を守ってください」としめくくりました。七十以上用意された傍聴席をうめた支援者らからは、思わず拍手がおきました。
現場マンション近くに住む党葛飾支部長の間根山正守さん(64)は、「日本の将来を左右する事件で、憲法を守る運動になっていく事件だと確信を持ちました。一緒に傍聴した人が『いままで尻ごみしてたけど、ビラ配り、やりますよ』といってくれました。私も勇気百倍になりました」と話していました。