2005年5月14日(土)「しんぶん赤旗」

自民が「つくる会」シンポ

文科政務官も参加予定

侵略美化の教科書後押し

熊本


 自民党熊本県連が主催者になり「新しい歴史教科書をつくる会」の会長を招いて今月二十一日に開催する「教科書シンポジウム」に、下村博文・文科大臣政務官がパネリストとして出席する予定であることが十三日までに明らかになりました。今夏の教科書採択を前に、政府・自民党が実質的に「つくる会」教科書を後押しするもので、侵略戦争への無反省、美化の姿勢を示すものです。


 シンポジウムは同党熊本県連青年局と人吉青年会議所の共催で同県あさぎり町で開かれます。同町は自民党青年局長である金子恭之衆院議員の地元で、同議員もコーディネーターとして出席します。

 「つくる会」の八木秀次会長が基調講演。パネルディスカッションには自民党県連女性部長の西川京子衆院議員も出ることになっています。

 下村氏は「つくる会」と共同歩調で歴史教科書の慰安婦記述などを攻撃してきた「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の事務局長。金子氏と西川氏も同「議員の会」のメンバーです。

 自民党は昨年、安倍晋三幹事長(当時)が「歴史教育の問題は憲法改正、教育基本法改正の問題と表裏一体の重要課題」とする通達を都道府県連に出しました。さらに安倍幹事長は「つくる会」の集会にメッセージを送り、「(歴史教科書問題は)国、地方が一体的に取り組むことが必要」「青年局、女性局を中心に全国的な取り組みを強化していく」と表明していました。

 人吉青年会議所がつくった「趣意書」では教科書検定制度が「外圧融合政策に歪められ」ているとのべ、「歴史教育の重要性を認識し教科書採択について関心をもって見守っていく事を目的」としてこのシンポジウムを計画したとしています。自民党県連の溝口幸治青年部長は「県連としては扶桑社の教科書がふさわしいものと考えているが、シンポジウムは採択の仕組みや(パネリストの)それぞれの考えを聞いてもらうのが趣旨」としています。同県連の青年局と女性部は二月にも八木氏を招いて勉強会を開いていました。

 子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長は「『つくる会』の歴史教科書は、侵略への反省を表明した村山首相談話(一九九五年)や、先日のアジア・アフリカ首脳会議での小泉首相の演説とも相いれない内容です。政権党を挙げてそのような教科書の採択をすすめるというのは、そうした言明にも反する」と語っています。


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