2005年5月9日(月)「しんぶん赤旗」

清水建設 コンサル会社と結託

ダム工事資料 事前入手

農水省が調査開始 入札不正の疑い


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清水建設本社=東京・港区

 大手ゼネコンの清水建設(東京・港区)が、農水省のダム工事入札の四年前から、同工事の設計などを請け負ったコンサルタント会社から守秘義務のある同省あての報告書などを入手、工事受注に成功していたことが本紙の調べでわかりました。清水建設がコンサルタント業務の一部を分担するほど両社は密接に提携しており、入札の公正さが疑われる事態。本紙の指摘に農水省は守秘義務違反などで調査を始めました。


 問題になっているのは、農水省九州農政局が発注した鹿児島県高山町の荒瀬ダム(総事業費約二百九十四億円)。昨年三月に一般競争入札に付された第一期建設工事で、前田建設工業・清水建設・さとうベネックの共同企業体(JV)が三十六億円で受注しました。

 農水省から同ダムの設計や施工計画など主要なコンサルタント業務を受注していたのは、三祐コンサルタンツ(名古屋市中区)。同社は一九九九年から二〇〇三年にかけて、同ダムの実施設計業務や設計・施工計画等検討業務などを受注、同省に報告書を提出しました。

 公共工事では不正を防止するため設計と施工の分離が原則。コンサルタント業務発注の際「契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない」と契約書に明記されています。

 本紙は、〇一年ごろに三祐側が清水建設に送ったファクスやメールの写し、清水建設が三祐側との連絡を記録した「ASダムプロジェクト業務経過報告」(〇一年作成)などを入手しました。

 これらによると、清水建設と三祐側の最初の接触は入札の五年近く前の九九年六月ごろ。両社の接触は記録されているだけでも九九年から〇二年までで百回をこえています。このなかで三祐側は清水建設に、ダムのタイプを決める比較検討業務や実施設計業務などについて、資料作成の分担を依頼。清水建設は三祐側の依頼にこたえ「概算工事費」などを提供しています。

 清水建設の協力に三祐側は「今後も同じ土俵で意志疎通ができるかと思います」(清水建設所長あて文書)などと感謝の言葉をのべています。

 三祐コンサルタンツの担当者は本紙の取材に、自身が出した文書であることを認めた上で、「清水(建設)さんが協力をしてくれるからよろしく、という話が(会社の)上の方からあった」と上司の“指示”で動いたことを明らかにしました。

 三祐コンサルタンツは、専務、常務、取締役などが農水省OB。昨年度までの三年間に農水省から三百件をこえるコンサルタント業務を受注するなど同省からのコンサルタント業務受注では業界トップクラスです。

 農水省農村振興局整備部設計課は「コンサルタント業務には当然、守秘義務がある。ご指摘のことについては調査をしたい」と話しています。

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三祐コンサルタンツから清水建設の所長あてに送られた文書。「同じ土俵で意志疎通ができるかと…」と記されています




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