2005年5月4日(水)「しんぶん赤旗」

改憲・論憲・創憲でなく

憲法の「実現」を

NHK憲法特集 小池政策委員長が主張


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発言する小池晃政策委員長 =3日、NHKテレビから

 日本共産党の小池晃政策委員長は三日、NHK「憲法記念日特集」に出演し、各党代表と討論しました。参加者は自民・与謝野馨政調会長(新憲法制定推進本部事務総長)、民主・枝野幸男党憲法調査会長、公明・太田昭宏党憲法調査会座長、社民・又市征治幹事長。

衆参調査会の報告書をどうみるか

 冒頭、衆参憲法調査会がまとめた報告書について自民、民主、公明の三党は「新しい憲法をつくるための大事なマイルストーン(一里塚)」(与謝野氏)、「スタートラインについた」(枝野氏)と肯定的に評価。

 小池氏は、自衛権や自衛隊を憲法上に明記する意見が多数などとする報告書の内容が「国民の世論と大きな開きがある」として、改憲に向けた論点整理となっていることを批判。又市氏も「調査会の設置目的を踏み外している」とのべ、枝野氏は「確かに多数意見だったことでこのまま突っ走るという性格のものではない」と認めました。

9条1項と2項を切り離す危険性

 NHKの世論調査で憲法九条改正が「必要ある」26%、「必要ない」36%、「どちらともいえない」31%と九条維持が改正賛成より10ポイント上回る結果が示されました。

 与謝野氏は、戦争放棄を定める第一項と戦力不保持、交戦権否定の第二項を切り離し「第二項で自衛隊の存在を明記する必要がある」と発言。枝野氏は「自衛や国際貢献といった場合の歯止めがない」とのべました。

 小池氏は、第二項を変えればいいという与謝野氏の議論に対し「一項と二項を切り離す議論は非常に危険だ。両方あって本当に九条の魂が輝く。二項をなくすと一項の戦争放棄自体が空文化してしまう」と指摘。第二項があるために日本は海外で武力行使できず、イラク戦争でも自衛隊が武力行使できない歯止めになっているとのべました。

 また、「自分たちだけ何もしないわけにはいかない」と国連決議に基づく自衛隊の海外での武力行使を容認する枝野氏に対し小池氏は、イラクで自衛隊が他国に守られるのは異常だから九条を変えるという中曽根康弘元首相の言明を引き「国際貢献というがやっているのは結局米軍支援だ」と海外で米軍と協力し武力行使できるようにする狙いを明らかにしました。

「新しい権利」を9条改憲のオブラートに

 自民党改憲要綱が「国防」「社会的費用負担」「家庭を守る」などを「国民の責務」として盛り込むべきだとしていることについて、与謝野氏は「社会の一員として義務や責任があると憲法に書いておく必要がある」と説明しました。

 これに小池氏は「国家権力が勝手なことができないように縛るのが憲法だ。義務であれば法律や規則で国民はがんじがらめになっており、それをいかに抑え国民の権利を保障するかだ」と反論。過去の侵略戦争が国民の権利の制限のもとに行われた経験から人権を制約する条項を盛り込まなかった現憲法の流れをのべ、「古い憲法観だ」とする与謝野氏に「権力が国民を縛る憲法観こそ古い」とのべました。

 また、太田氏が「社民、共産は新しい人権に及び腰だ」とのべたのに対し、小池氏は「環境権も知る権利も大事で、その実現のためにわれわれは頑張ってきた。憲法に盛り込まれなくても憲法に基づく運動で実現している」と主張。「そういう権利に反対してきた人たちが憲法に盛り込めと言い出すのは、九条だけだとあまりにも苦い薬だからオブラートに包まないといけないといって出しているだけではないか」と指摘しました。

今後の論議―国民投票法案で自公民一致

 今後の憲法論議をどう進めるかについて与謝野氏は、今年十一月に向けた党改憲案のとりまとめとともに「国会では国民投票法案について憲法改正の手続き、中身の問題を各党と話し合う機会をつくらなければならない」とのべました。

 枝野氏も「国民投票の手続き法がないからできれば憲法調査会で引き続き議論させてほしい」と同調。太田氏も「異論はない」と自公民で一致しました。又市氏は反対を表明しつつ「投票のやり方については対案を出したい」とのべました。

 小池氏は国民投票法案について「九条改憲の手続きそのもので、改憲ストップのため頑張りたい。改憲でも論憲でも創憲でもなく憲法『実現』だ。憲法の目標にてらし現実政治のどこをただすべきかに国会はとりくむべきだ」と表明しました。


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