2005年5月4日(水)「しんぶん赤旗」

主張

非核地帯条約

核兵器廃絶めざし世界中に


 世界の四つの非核地帯条約に加盟している諸国が、はじめて一堂に会して非核地帯国際会議を開き、共同宣言を採択しました。宣言は、非核地帯を「核兵器完全廃絶実現の効果的方法」と指摘し世界中に広げることを確認するとともに、核兵器国に、二〇〇〇年の核不拡散条約再検討会議で約束した核兵器完全廃絶の履行をせまっています。

不当なアメリカの態度

 非核地帯は、現在、南極条約以外に、中南米(トラテロルコ条約)、南太平洋(ラロトンガ条約)、東南アジア(バンコク条約)(いずれも発効)、アフリカ(ペリンダバ条約=未発効)の四つがあります。構想段階のものでは、中央アジア非核地帯、中東非核地帯があります。

 これらの非核地帯条約は、域内での核兵器の製造、貯蔵、使用、実験などを禁止するものです。核兵器の配備、通過、運搬の扱いについては差がありますが、宣言が、非核地帯を、核のない世界をつくる過程として位置づけていることは重要です。

 これにたいして、アメリカは、非核兵器国の核兵器開発、所有を禁止するものには賛成するが、非核地帯での核兵器積載艦船・航空機の通過、運搬、寄港を禁止するものには反対し、妨害してきました。

 アメリカが批准しているのはトラテロルコ条約だけです。「核兵器の通過権と運搬権を許容している」(議定書批准のさいの政府声明)からというのが理由です。ラロトンガ条約は、「領海通過の自由を確認している」としながら、署名にとどまっています。

 バンコク条約は、一九九五年に作成、九七年に発効しました。アジアの非核化にとって重要な条約です。中国は、すでに条約の支持を表明し署名の意向をあきらかにしています。しかし、アメリカは、領域だけでなく二百カイリ経済水域も適用範囲とするこの条約につよく反対し、署名すらしていません。理由は、「公海の自由、領海内の無害通航権、国際海峡の通過通航権、群島航路通航権を制約する」(九五年十二月 国務省説明)からというもの。条約を修正するよう圧力をかけています。

 アメリカの核兵器積載艦船・航空機の通過、運搬、寄港の権利を確保するため、核のない世界をつくる努力を押しつぶそうとするなど許されることではありません。

 日本政府は、このアメリカの横暴を後押ししてきました。八七年、ASEAN拡大外相会議で、倉成外相(=当時)は、「センチメンタルな意味での構想であってはならない」「公海における航行の自由が必要」などと非核地帯化の動きを非難しました。いまも、「核兵器国をふくむすべての関係国の同意」「公海における航行の自由をふくむこと」が必要(外務省「非核地帯の概要」)などと、アメリカの都合に合わせた主張をしています。

 対米追随では、アジアの非核化に貢献することもできません。

非核の日本を

 今回の非核地帯国際会議には、日本政府もオブザーバー参加し、非核地帯への一般的支持や非核三原則(核兵器をつくらず、持たず、持ちこませず)を守ると表明しました。それが本気なら、非核地帯の国々との連帯を真剣に追求し、核兵器を積んだ艦船や航空機の一時通過を認めた日米「核密約」は破棄すべきです。

 日本は、唯一の原爆被爆国です。非核の日本を実現し、核兵器を地球上から根絶するために力をつくしましょう。


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