2005年4月21日(木)「しんぶん赤旗」

改憲に向け論点整理 憲法調査会参院報告書

日本共産党は反対


 参院憲法調査会は二十日、五年間の活動をまとめたとする「日本国憲法に関する調査報告書」を自民、民主、公明の賛成で議決し、扇千景参院議長に提出しました。日本共産党、社民党は反対しました。

 「報告書」は、「五党で一致している意見」を「共通またはおおむね共通の認識が得られたもの」、「自民・民主・公明の三党がおおむね一致した意見」を「すう勢である意見」、その他を「意見が分かれた主要なもの」と三つに区分。議員個人の見解をのべてきた調査の実態とも違うものとなりました。

 九条については、「9条2項改正の要否」「集団的自衛権を認めることの是非」「自衛隊の憲法上の明記」「国際貢献の憲法上明記」などを「主な論点のうち意見が分かれたもの」に分類。「憲法調査会において憲法改正手続きの議論を続けるべきとする意見」を「すう勢」にあげています。「すう勢」の意見には、このほかプライバシー権、環境権などの新しい人権の「憲法上の明記」をあげました。

 日本共産党の吉川春子議員は、報告書が「九条改憲にむけた論点整理としている」と批判。調査会は政党間の意見のすりあわせをする場ではないと指摘し、「五年間の調査の経過および結果を反映したものとはいえない」とのべました。そして、「報告書を出すことで任務を終了した以上、すみやかに幕を閉じるべきだ」と主張しました。

 吉川氏は、九条改定は二度と戦争をしないという国際公約を破棄するに等しいと指摘。「九条を守ることが日本の繁栄と国民を守る道だ」と強調しました。


9条変える足がかり狙う

志位委員長が批判

 日本共産党の志位和夫委員長は、二十日の記者会見で参院憲法調査会の報告書について次のようにのべました。

 一、今回の参議院憲法調査会の報告書は、憲法改定にとりかかることを事実上の前提にして、憲法にかかわる論点を、「共通またはおおむね共通の認識が得られたもの」、「(改憲の方向性が)すう勢である意見」、「(改憲についての)主な論点のうち意見が分かれたもの」の三つに区分している。こうして報告書が、全体として、憲法改定にむけた論点整理の報告書となったことは重大である。

 これは、設置の目的を「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことに限定した同調査会の性格を逸脱したものであり、わが党は反対した。

 一、報告書は、憲法九条について、「憲法9条2項の改正の要否」、「集団的自衛権を認めることの是非」、「自衛隊の憲法上の明記」、「国際貢献の憲法上の明記」などを、「(改憲の方向性が)すう勢である意見」のなかに含めることはできなかったものの、「主な論点のうち意見が分かれたもの」の中に位置づけた。これは、九条改憲への足がかりをつくろうとするものであり、許されない。

 一、わが党は、国民のなかで、憲法改悪を許さないゆるぎない多数派をつくるために、ひきつづき全力をつくす。


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