2005年4月20日(水)「しんぶん赤旗」

消費税「5%+α」

21世紀ビジョン 将来は10%超す

首相が議長の経財会議


 経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は十九日、日本経済の長期展望を示す「日本二十一世紀ビジョン」を策定しました。ビジョンは、二〇〇七年度から一〇年代初頭までの財政試算の前提として消費税率を「5%+α」にすることを明記。消費税増税の方向を打ち出しました。さらに一三―三〇年度には消費税率が「10%+α」になるとの試算を盛り込みました。


 同ビジョンは、小泉内閣が不良債権処理を軸とした集中調整期間(〇一―〇四年度)を終えたとして、三〇年までの将来像を展望したもの。小泉首相は同日の会合で「『ポスト小泉』を狙う方々は、改革のバイブルとしてぜひ、このビジョンを活用してもらいたい」とのべました。

 ビジョンはこの中で、大増税路線への転換を宣言しました。〇七年度から一〇年代初頭までに消費税率を「5%+α」としたのは、「任期中には、消費税率を引き上げない」としていた小泉首相の自民党総裁任期(〇六年九月)後の消費税率引き上げのシナリオを描いたものです。

 一三―三〇年度の試算では、(1)増税を実施し、社会保障などの水準を一〇年代初頭並みに維持するケース(2)増税などはおこなわず歳出削減を徹底するケース―の二ケースを想定。増税ケースでは、消費税率が「10%+α」になるとしています。

 ビジョンは、急速な少子、高齢化が到来しても安定成長を確保するとして、消費税増税の一方で公的な社会保障の水準を大幅に切り下げる「小さくて効率的な政府」の実現などを提言しています。


解説

日本経済ゆがめる

 社会保障削減と消費税増税―。ビジョンが描くのは庶民に痛みを押しつける「大負担増路線」の将来像でしかありません。

 小泉内閣の四年間は、不良債権処理を最優先する「構造改革」の推進でした。大企業や大銀行は不良債権の“重し”から逃れ、一部大企業は空前の大もうけを記録しています。しかし、「不良債権」処理の名で数多くの中小企業や労働者が犠牲になってきました。

 大増税路線に踏み出すことは、大もうけをする大企業と、不況にあえぐ中小企業や家計との二極化がすすむ日本経済をさらにゆがめることになります。

 年金保険料の引き上げ、定率減税半減、年金課税の強化…。小泉内閣によって、すでに国民には多大な負担増が負わされています。

 消費税は国民の暮らしと営業、福祉、日本経済を破壊する最悪の税目です。それを税率「5%+α」は当たり前、社会保障などの削減を抑えたいなら将来は「10%+α」にと迫ります。そんな道筋を国民は認めません。

 社会保障の充実も財政再建も消費税増税に頼らずに済む道はあります。ムダをただし、大企業と高額所得者に応分の負担を求める道こそ、将来に向かう道です。 (山田英明)


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