2005年4月18日(月)「しんぶん赤旗」

多国籍軍で武力行使も

民主 9条改憲の論点整理素案


 民主党の憲法調査会の第五小委員会・安保・国際問題(座長・中川正春衆院議員)の「論点整理」素案の内容が明らかになりました。「自衛隊の憲法上での明記」をあげ九条二項を改変する立場を明確化。多国籍軍による武力行使への参加や、「抑制的自衛権」の名で集団的自衛権行使も可能とする方向です。

 この「論点整理」素案は、民主党憲法調査会が取りまとめる「憲法提言」の九条にかかわる部分のたたき台となるもの。三月二十五日付でまとめられました。

 「論点整理」素案は「国際情勢と日本の体制に関する議論」と「国内的体制の議論」の二つの柱から成り、「国内的体制」の冒頭に「自衛隊の憲法上での明記」を掲げています。そのうえで「安全保障基本法、集団安全保障基本法をつくる」ことや、「有事下では基本的人権が制約されること」などをあげています。

 「日本のあるべき姿」として、日本が国連の活動や地域安保で「軍事的参加をも可能にする憲法上の担保が必要」と主張。「非軍事的な貢献は言うにおよばず、PKOから多国籍軍まで武力行使を伴う活動であっても安保理の決議を前提にこれに参加する」としています。

 「憲法に明示する日本が守るべき諸原則」では、「個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」として海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使を可能にするとしています。

 「論点整理」素案はまだ第五小委員会での論議にはかけられていません。二十五日に開催予定の同党憲法調査会の総会までに第五小委員会が開かれる見込みです。


解説

5月にも「憲法提言」

 民主党憲法調査会は五月三日までに同党改憲案の基本となる考え方を示す「憲法提言」をまとめるとしています。その取りまとめに向け、総論、基本的人権、統治機構、地方分権、安保・国際の各小委員会で論議を進めています。

 このなかで改憲の焦点となる九条に関する問題を扱う安保・国際小委員会(第五小委)の論議が注目されています。

 同小委では三月十五日の会合で、各委員から意見を出し合いましたが、集団的自衛権行使や多国籍軍への参加に積極的な意見と、これに慎重な意見に二分されました。その際、中川正春座長(衆院議員)は、「次回で論議をまとめたい」としましたがその後、会合は開かれていません。この間、中川氏が中心となってまとめたのが「論点整理」素案です。

 中川氏は、憲法提言と第五小委での論議のまとめが昨年六月の「中間報告」より踏み込んだものになるのは「当然だ」と主張。「個別・集団の区別をしない自衛権に専守防衛の制限を具体的に盛り込むことと、武力行使を含む多国籍軍への参加」をあげていました。「論点整理」素案はそれを反映する内容になっています。

 他方、第五小委関係議員からは「全く違う意見があるんだから一つにまとまらない」、「無理にまとめようとすれば分裂しかねない」などの意見もでています。(中祖寅一)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp