2005年4月12日(火)「しんぶん赤旗」

住友金属男女差別裁判

勝利判決の意義

根源に「闇の人事制度」
「コース別」による正当化否定


 住友金属工業の男女差別是正裁判で、大阪地裁の判決は、従業員に隠された「闇の人事制度」による違法な男女別の取り扱いにより格差が発生したと認定しました。判決は、男女の格差は「採用時のコースの違いによる合理的なもの」との会社の主張は退けました(会社側は判決に従わず控訴)。判決の意義と、会社のごまかしの主張をどう打ち破ったのかについて、弁護団の谷智恵子弁護士、原野早知子弁護士に聞きました。(中村 万里)

谷・原野両弁護士に聞く

 「男女差別の認定の基礎となるのは、男女で顕著な昇進や賃金の格差があることです。男女の格差を、あらゆる証拠を使って裏付けつつ、詳細に明らかにすることが重要だと位置づけました」と谷さんはいいます。

女性は最低処遇

 住友金属では、原告の女性たちと同時期に採用された事務職の男性のほとんどが年功序列的に昇進し、その多くが管理職になります。一方女性は、三十年以上勤続でもヒラ社員のまま。女性の年収は、高卒事務職の男性よりも、平均二百五十万円も低いものとなっています。

 こうした格差は何によって生じるのか。判決は、住友金属が従業員に知らせていない「闇の人事制度」で、事務職の従業員を「イロハニホ」の五段階に分けて昇進・賃金を決定し、そのなかで女性を学歴や仕事ぶりにかかわらず最低処遇の「ホ」に位置づけていたからだと認定しました。

 「従業員を分断し女性を差別する『闇の人事制度』は、これまでの判例で違法性が認められた男女別賃金表と同様の直接差別です。判決が、二重三重に違法な差別の本質を、正面から認めたことが大切な点です」と原野さんは指摘します。

会社の主張崩す

 会社側は、男女間の格差は「『本社採用』『事業所採用』という『採用区分』の違いが、能力評価に反映されて発生したもので、違法ではない」と主張しました。

 しかし、原告側が住友金属の能力評価・昇進システムを分析した結果、男性が年功序列的に昇進する実態は、毎年の考課査定で非常に高い評価を受け続けた結果としか説明できないことが明らかになりました。男女格差は「『採用区分』の別と適正な能力評価の結果」と強弁していた会社の主張は崩れました。

 住友金属には、会社の主張によっても、女性と同じ「事業所採用」とされている職掌転換者(工場での技能職から事務職に転換した者)の男性従業員が多数いました。原告側は、文書提出命令を申し立てるなどして、これら男性従業員の賃金台帳・履歴台帳を入手し、分析しました。その結果、これらの男性(「闇の人事制度」では「ハ」「ニ」に区分される従業員)との間でも、女性は処遇が低く差別されていること、さらに、実際の男女従業員の昇進・賃金が「闇の人事制度」の五段階の内容と一致することが分かりました。

 判決は、会社のいう「採用区分」は労働協約・就業規則などの会社の規程に何も根拠がないとして、「採用区分」の存在を否定しました。一方、判決は、男女が別々の手続きで採用され、採用後の配置業務や研修も異なっているという男女の「コース別取扱い」はあったと認定しました。しかし、判決は、男女間の著しい処遇の格差と「コース別取扱い」は、「合理的関連性を有するとは認められない」として、「コース別取扱い」による差別の正当化をも否定し、差別の源は「闇の人事制度」にあると認定しました。

事実と証拠重ね

 このような判断は、原告と弁護団が、一つ一つの事実や証拠分析を積み重ねて立証を行った結果といえます。

 男女間格差の原因を企業側が「コース別」と主張した住友電工、住友化学両事件の一審判決は、企業側の言い分が認められ、女性労働者側が敗訴しました。野村證券事件一審判決や昨年十二月に判決があった岡谷鋼機事件一審判決では、「コース別」の存在を前提に、改正均等法が施行された一九九九年以降のみ「コース別」が違法となるとの判断でした。住友電工、住友化学、野村證券の各事件では、こうした差別容認の判決に対する批判の広がりの中で、勝利和解を勝ち取ってきましたが、「コース別」をさらに規制する判決はありませんでした。

 原野さんは「これまでの裁判では、企業側が『コース別』を主張すれば、『コース別が格差の原因だ』と大ざっぱに認められてきました。今回の判決は、会社側に『コース別と格差との合理的関連性』の立証を求めることによって、『コース別』で男女間格差を正当化しようとする企業の主張をうち破った」と評価します。

 谷さんも「男女差別の実態、歴史的な被害、格差を克明に立証すれば、会社側の主張を突破できることを示した意義は大きい」といいます。同時に、「法廷外の運動が大きく盛り上がったことが、法廷内の活動と有機的に結びつき、会社の主張をくつがえす力になりました」と運動の重要性を強調しています。


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