2005年3月26日(土)「しんぶん赤旗」
「人身売買受け入れ大国ニッポンの責任」
日弁連がシンポジウム
被害者の保護へ国は施策前進を
日本弁護士連合会(日弁連)両性の平等に関する委員会(海老原夕美委員長)は十九日、都内でシンポジウム「人身売買受入大国ニッポンの責任」を開催。人権保障の視点から、被害者保護・支援を前進させるために開かれたものです。
国際社会から批判が
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「人身売買」は、外国人女性が業者の手引きで日本に入国し監禁状態で売春させられるなどの、最悪の人権侵害です。日本は受け入れ大国として国際社会から長年批判されています。政府はやっと昨年十二月、防止・撲滅・被害者保護を柱とする「人身取引対策行動計画」を策定。「人身売買」罪の新設や、被害者を保護の対象として明確にし、基本的に在留資格を認めるなどの法改正を予定しています。しかし、被害者保護は既存制度の運用強化にとどまるなど不十分です。
十八年前から被害女性の保護にとりくんでいる「女性の家HELP(ヘルプ)」のディレクター・大津恵子さんは、タイ人女性被害者の例を報告。被害者は十八歳から二十四歳までがもっとも多く、平均四百万円の架空「借金」を負わされ、脅迫や暴行を受け、病気のときにも売春をさせられるなどの「奴隷」状態におかれていると告発。「HELP」には国からの補助はなく、「行動計画」にも財政上の措置は明記されていないとのべ民間シェルター(避難施設)に、国の十分な財政的補助がほしいと訴えました。
性産業の規制も必要
弁護士の吉田容子さんは、現在の婦人相談所はDV(配偶者暴力)被害者などへの対応で手いっぱいであり、「人身売買」被害者を受け入れるためには、職員増員や通訳の常駐、政府予算の十分な投入が求められていると指摘。被害者の多くが性的搾取を受けており、肥大化した性産業の規制も必要だと語りました。
在日コロンビア大使館・ソーシャルワーカーのオマイラ・リーベラさんは、コロンビア人女性の「人身売買」被害の実態を報告。日本で「人身売買」が処罰化されることを「心待ちしている」とのべました。
会場からも、婦人相談所や民間シェルターへの財政的支援の充実をはじめ、「一時保護」後の支援の問題など政府の施策拡充を求める意見が多くだされました。EU(ヨーロッパ連合)での被害者保護のとりくみも紹介されました。
主催者の日弁連両性の平等に関する委員会は基調報告で、「人身売買」についての国際基準や日本政府の行動計画の問題点に言及。被害者保護・支援の法整備を提言しました。
(日本共産党女性委員会 事務局 坂下久美子)