2005年3月24日(木)「しんぶん赤旗」
主張
05年度予算成立
くらし壊す増税路線に反撃を
二〇〇五年度の政府予算が、自公両党の賛成多数で成立しました。
〇五年度予算で政府・与党は、二段階の過酷な増税計画の第一歩を踏み出そうとしています。
〇五年度予算は、家計の収入が年間で数兆円規模の減少を続けているもとで、大規模な増税路線の皮切りとなる定率減税の半減を組み込んでいます。
政府・与党は〇六年度には定率減税を廃止する予定で、増税総額は三・三兆円に上ります。これを含め、今後二年で七兆円もの巨額の負担増を押し付け、さらに〇七年度から消費税を二ケタに増税する狙いです。
日本共産党の追及で
日本共産党は衆院でも参院でも、増税計画を正面から追及しました。
大事な論点の一つが、一九九七年の橋本失政の二の舞いになるのではないかという問題です。橋本内閣は消費税増税、医療費値上げ、特別減税の打ち切りによる九兆円負担増を強行し、日本経済を不況の泥沼にたたき落としました。
参院代表質問で、この点をずばりと突いた市田忠義書記局長に、小泉首相は次のように答えました。
「企業部門の改善を背景に、景気回復が雇用、所得環境の改善を通じて、家計部門へ波及する」。だから家計の負担を増やしても大丈夫だという認識です。
衆院予算委で志位和夫委員長は、首相の認識の誤りを、政府自身のリポートを示してただしました。
かつては企業利益が増えれば賃金も増える「相関」関係があったが、九〇年代に「相関」関係が消え、九五年以降はむしろ「逆相関が強まっている」。こう書いているのは内閣府の『日本経済2004』です。「逆相関」とは、企業の利益が伸びても家計の収入が減る関係です。
日銀のリポート「雇用・所得情勢にみる日本経済の現状」も、企業が利益を増やしても所得が増えない原因は企業の「人件費抑制姿勢」にあり、人件費抑制姿勢は今後も根強く残ると分析しています。
大企業はリストラで利益を拡大してきたのだから利益を増やしても賃金は増えない。これからも賃金が増える見込みが立たないと、政府自身のリポートが認めています。
小泉首相は「企業は随分苦労してきた」「企業も頑張ってきた」と大企業の弁護役に回りました。雇用者に対しては、「雇用者所得にもいい影響を与えるようになってもらいたいなあ」と、「願望」を語るだけです。
参院予算委で小池晃政策委員長は、負担増で庶民の生活がどうなるのかを具体的に取り上げました。
これまで税金が天引きされなかった、月十九万円の年金で一人暮らしのお年寄りの場合―。ことし一月からの公的年金等控除の縮小と所得税の老年者控除の廃止で、年五万円も税金が引かれるようになりました。これに続いて所得税・住民税の増税、介護保険料の値上げなど、次から次へと負担が増え、年金が目減りしていきます。
既定路線にさせない
「生活設計がめちゃくちゃになるではないか」と迫られた小泉首相は、「負担できる層には負担してもらわないと」と突き放しました。
日本共産党の追及で、くらしに対する小泉内閣の冷たい姿勢、負担増の無謀さが浮き彫りになりました。こんなやり方に道理はありません。
国民の七割が消費税増税に反対しています。消費税率引き上げに連なる増税計画を既定の路線にさせないよう、反撃に立ち上がりましょう。