2005年3月22日(火)「しんぶん赤旗」

主張

福岡県西方沖地震

救援急ぎ、震災対策を万全に


 「また大地震」、「津波はどうなるか」と緊張しました。福岡県西方沖を震源とする地震で、福岡県福岡市、前原市、佐賀県みやき町では震度6弱を記録しました。津波被害はまぬがれましたが、大きな被害が出ています。福岡県は、福岡市への災害救助法適用を決めました。

 亡くなられた方をはじめ、被災されたすべての人に、心からおくやみとお見舞いを申し上げます。

 被災者への救援を急ぐとともに、復興や今後の震災対策に万全を期すことを、政治の責任として実行していかなければなりません。

大都市と島の被害

 福岡市では、倒壊したブロック塀の下敷きになって女性が亡くなりました。福岡市の市街地では、ビルの壁や窓ガラスが割れて落下する被害が出ています。

 けがをした人は、福岡県、佐賀県、長崎県で約七百人。住家の被害も、全壊・半壊・一部破損で約七百棟にのぼります。博多湾の湾口に位置する玄界島(福岡市西区)では、負傷者九人、住家の全壊十六棟、半壊百五十七棟という大きな被害が出て、約五百人が同市中央区の体育館に避難しました。仕事上どうしても離れられない人以外はほとんど避難したとみられます。島での被害としては、福岡市の能古島で負傷者二人、長崎県壱岐島(壱岐市)で負傷者一人、佐賀県小川島(唐津市)で負傷者一人が報告されています(二十一日午後四時現在、消防庁調べ)。

 この被害状況を見ると、大都市型の震災被害と島での被害に対応する必要があるように思われます。

 地震で倒壊するブロック塀の危険性については、一九七八年六月の宮城県沖地震の際に大問題になりました。この時の死者二十八人のうち、十八人が、ブロック塀などによる圧死だったからです。それ以降、ブロック塀の強度を上げる措置がとられましたが、全国的に見れば、まだ倒壊の危険性のあるブロック塀があることを直視する必要があります。

 福岡市の中心部で、窓ガラスがたくさん割れるビルがありました。倒壊まではしないものの、ビルの外壁や窓ガラスが壊れて落下する危険があることも、かねてから指摘されてきました。大都市ならではの危険にたいし、全国的に対策を強めなければなりません。同時に、福岡市の場合には、ヒビが入って落ちかけているガラスや外壁などがないかどうかをただちに点検し、緊急に危険を取り除く措置をとることが求められています。

 島で大地震の被害を受けた場合、救援や復興で、他の地域とは違った難しさがあります。玄界島の場合も、実質的に「全島避難」に近い形にならざるを得ませんでした。住みなれた島から離れて避難生活をする苦労や、島の復興に特別の援助がいることなどを、行政側が十分にくみとり、適切な対応をしてほしいと思います。

全国どこにも例外なし

 地震はどこで起きるかわかりません。「私たちのところは大丈夫」と言えるところはありません。

 二〇〇〇年以降を見ただけでも、日本でおきた震度6以上の強い地震は、福岡県西方沖地震で八回目です。震度7を記録した昨年十月の新潟県中越地震では、いまだに避難が続き、豪雪による被害の拡大が心配されています。

 地震の発生を止めることはできませんが、被害を小さくすることはできます。知恵と力を合わせ、震災対策を前進させていきましょう。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp