2005年3月11日(金)「しんぶん赤旗」

主張

日韓の歴史問題

未来を開くため必要なことは


 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が、歴史問題で「韓日協定(日韓条約)と被害補償問題では韓国政府にも不十分さがあった」とのべつつ、「日本政府と国民」にも「真剣な努力」をよびかけました。日本の植民地支配に抗した「3・1独立運動」(一九一九年)の記念式典でのことです。

 これにたいし、「日韓関係を阻害する発言だ」(「読売」三日付)などと批判する論調もあります。「謝罪」も「賠償」も、歴代首相の表明と一九六五年の日韓条約で「解決ずみ」であり、むし返すのは不当だというのです。このような主張に妥当性はあるでしょうか。

戦争責任どう果たすか

 歴史問題を解決する根本は、かつての天皇制政府による侵略戦争と植民地支配の誤りを明確にし、日本の戦争責任をはっきり認め、あたえた被害を誠意をもって償うことです。日本軍国主義の誤りを二度と繰り返さない立場から、歴史認識を共有し、未解決の問題を解決していかなければなりません。そうしてこそ、韓国とも日本が平和な未来をともに築く道が開けます。

 韓国では最近、日韓条約締結時の外交文書の公表など、歴史の全面的な見直しが進んでいます。その中での次のような大統領発言でした。

 「北東アジアの未来をともに開くべき運命共同体」の日韓両国は「協力して平和定着と共同繁栄の道に進まなければ、国民の安全と幸福を保障できない」のだから、「真実と誠意を持って両国民間の心の障壁を崩し、真の隣人に」なろう。「歴史問題を外交的争点にしない」考えに変わりはないが、「一方的な努力だけでは解決できない」ので、「日本政府と国民の真剣な努力が必要だ」。

 実際に、日韓条約や一連の外交交渉で歴史問題がすべて「解決ずみ」だといえる状況ではありません。

 日本政府が、朝鮮半島出身の「従軍慰安婦」問題に「政府の関与があったと認められた」(官房長官)といったのは、一九九二年七月です。しかし、被害者に政府としての賠償はせず、一九九五年に「慰安婦」のためとして「アジア女性基金」をつくっても、「政府補償が必要だ」という意見はうけいれませんでした。

 「慰安婦」や強制徴用された人々が、日本政府・企業に賠償と謝罪を求めた裁判だけで二十件を超えます。すべて、一九九〇年代以降です。

 強制連行されて犠牲になった人々の遺骨は、まだ日本各地の寺院に預けられたままになっています。

 そのうえ小泉政権からは、明白な歴史的事実を無視、わい曲した言動が後を絶ちません。中山文部科学相が「教科書から従軍慰安婦とか強制連行とかいう言葉が減ってきて本当によかった」と発言(昨年十一月)。下村文科政務官は教科書検定で近隣アジア諸国に配慮する「近隣諸国条項」まで批判しています(六日)。

 世論と運動でこうした逆流を克服することは、日本国民の課題です。

日本自身の課題として

 「韓流」ブームなど、韓国との交流は広がってきました。私たちが歴史の真実を直視し、歴史認識を共有していくことは、韓国の人々との信頼、協力関係をさらに広げ、「未来志向」の日韓関係の土台をしっかりさせていくために不可欠です。

 それは日本を、二度と戦争を起こさない、平和で民主的な国にするための努力と一体のものです。憲法の平和、民主原則を実際に生かし、国連憲章にもとづく平和秩序をこのアジアから広げていく努力を、日本の進路にすえなければなりません。


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