2005年3月10日(木)「しんぶん赤旗」

フリーターに課税って?


 〈問い〉 先日の志位さん(和夫委員長)の予算委員会質問に「若者にはフリーター課税の強化」という言葉がでてきましたが、具体的には政府はどんなことをしようとしているのですか?(兵庫・一読者)

 〈答え〉 政府がやろうとしているのは地方税である住民税の「課税漏れ」をなくす措置を講じることです。

 現在は、事業主が1月1日時点で在職する従業員の前年分の給与支払報告書を、その従業員の居住地の市町村に送付、市町村はこれによって給与取得者の所得を把握し課税しています。

 この方法だと、例えば、短期間で職場を変わったりするフリーターの場合、1月1日前にやめてしまうと給与支払報告書が市町村に送られないため、住民税が課税されないということが生じていました。(国税である所得税の源泉徴収があれば、税務署を通じて給与の支払い状況が市町村に伝わりますが、所得税が源泉徴収されない程度の低賃金の場合はこのルートでも把握できません)

 そこで今後は、前年に働いていた従業員は、1月1日時点で在職していない人でも、給与支払報告書を市町村に送付することを事業主に義務付けることにするものです。これは、もともと法律上住民税が課税されるべきだった人に課税するための措置ですから、新たな課税とは違います。

 問題は、低賃金の労働者の場合、法律上納めるべき税額以上に、税金を支払わされる可能性があることです。

 低賃金の労働者の場合、職場で社会保険に加入できず、自分で国民年金等に加入して保険料を支払うことがあります。保険料は、本来は「社会保険料控除」の対象となり、住民税額の計算の際に差し引かれます。ところが、事業主から市町村に行く給与支払報告書には、労働者が個人で支払った保険料は記載されません。このため、市町村は、社会保険料控除をしないまま住民税額を計算して、支払うべき税金より多い額を労働者に通知することになります。本人が税の申告をすれば差額は返ってきますが、若いフリーターの場合、制度をよく知らされていないのが実情で、課税強化のみをすすめるのは問題です。(藤)

 〔2005・3・10(木)〕


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