2005年2月26日(土)「しんぶん赤旗」

主張

3・1ビキニデー

核兵器の廃絶は逆流を超えて


 あす二十七日から三月一日にかけて、3・1ビキニデー集会、日本原水協集会などがおこなわれます。

 一九五四年三月一日、アメリカはマーシャル諸島ビキニ環礁で、広島原爆の千倍の爆発威力をもつ水爆実験を実施、大量の「死の灰」が現地住民、第五福竜丸など日本漁船に深刻な被害を与えました。

 広島・長崎につぐ衝撃の体験から、国民的な原水爆禁止運動が生まれて半世紀、今日の情勢はこの運動のいっそうの前進を求めています。

巻き返し狙う米政権

 五月二日からの核不拡散条約(NPT)再検討会議を前に、前回二〇〇〇年の会議で核保有国も合意した、核兵器廃絶の「明確な約束」をはじめ核軍縮措置の実行が問われています。これに対し米ブッシュ政権が巻き返しを狙っていることは、政府高官などの発言からも明らかです。

 核不拡散をめぐる情勢は劇的に変化したので二〇〇〇年合意に縛られない。会議は非核保有国の不拡散義務の強化に集中すべきだ――。そしてアメリカへの非難は、拡散問題から目をそらせ、世界諸国の安全を脅かす、とまでいいます。

 新たな核保有の危険を、国際社会が一致してくいとめなければならないことは当然です。しかしアメリカのように、自らは安全保障を理由に膨大な核戦力を維持し、質的な強化をすすめ、拡散阻止と称して核兵器使用さえ計画するなど、一片の道理もありません。むしろ新たな核保有の口実を与えかねず、アメリカ国内でも“核兵器による安全保障について道理に反する手本を示してはならない”(ニューヨーク・タイムズ社説)など批判の声があがっています。

 また米高官は、批判が高まる小型核兵器の開発について、すでに何十年も保有しているもので新たな開発には当たらない、NPTは核軍縮や廃絶の合意を求めていないと開き直ります。

 不拡散のためにも核兵器廃絶をいまこそ実行すべきだという、国際社会の一致した確認を、無限のかなたに追いやろうというのです。大量破壊兵器の拡散防止を口実にしたイラク戦争では、その口実が完全に破たんしているのに、この態度です。

 しかし、あくまでも歴史の歯車を逆転させようとするなら、アメリカはいっそう孤立を深めるだけです。実際、NPT会議に向けて、非同盟諸国や「新アジェンダ連合」諸国、広島、長崎両市など、多数の政府や自治体が、確固として二〇〇〇年合意の実行を求め行動しています。

 これらの努力が、世界諸国民、反核平和運動などのNGOの奮闘と連帯・合流するなら、新たな前進への大きな力となるでしょう。そのためにも、ビキニ被災以来、国際的にも貢献してきた原水爆禁止運動の役割が重要です。ビキニ被災時の三千万をこえる原水爆禁止署名、国内で六千万をこえ世界的とりくみになった「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」署名など、草の根に広がった世論と運動こそ、核戦争の危険を阻み、核兵器廃絶を世界の流れとし二〇〇〇年合意をつくりだした力です。

激動の世界で

 先日の世界社会フォーラム総会では、初めて核兵器廃絶が行動計画にとりあげられ、「いま、核兵器の廃絶を」署名にも大きな共感がよせられました。

 アメリカ覇権主義の横暴を許さないたたかいが発展する激動の世界で、もっとも重要なたたかいの一つとして原水爆禁止運動がいっそう力を発揮することが必要です。



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