2005年2月24日(木)「しんぶん赤旗」

解説

串岡人権訴訟の勝利判決

内部告発に正当性


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内部告発報復人事訴訟で富山地裁に入廷する原告の串岡弘昭さん(右)=23日、富山市

 「内部告発」が「流行語」になるなど、注目された串岡人権訴訟は「やや不満足な点はあるが、基本的事実関係はすべてこちらの主張が認められた」(原告代理人・山田博弁護士)勝訴判決でした。

 判決では、争点のひとつとなった内部告発の正当性について、「告発内容に公益性がある」と認定。串岡弘昭さんが不利益な扱いを受けてきたことについて、旧教育研修所勤務時までは、内部告発に対する報復と認め、教育研修所移転後の不利益な扱いも「基本的には内部告発を理由とするもの」としています。串岡さんを、内部告発を理由に不利益に取り扱ったことに対して、会社側の不法行為責任、債務不履行責任を認めました。しかし、一九九二年一月二十九日より先の件については、時効としました。

 内部告発の正当性について、昨年成立した公益通報者保護法では、まず企業内部での改善努力を求めています。判決文(要旨)では、串岡さんの上司への直訴は、ヤミカルテルの是正を正確に言っておらず、「内部努力がやや不十分であった」としました。しかし、「ヤミカルテル及び違法運賃収受は、会社ぐるみで、さらには業界全体で行われていたものであり、このような状況からすると、発言力の乏しかった原告が仮に内部で努力したとしても、被告がこれを聞き入れて何らかの措置を講じた可能性は極めて低かったと認められる」として正当性を認めています。

 串岡さんは、「二〇〇二年の提訴以降、いろいろな形で内部告発をする人が出てきた。その人たちにも勇気を与える判決だったと思う」と話しました。 (富山県・中本明子)



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