2005年2月24日(木)「しんぶん赤旗」 主張党首討論国民の願う議論をしているか第百六十二通常国会で最初の党首討論が二十三日、小泉首相と民主党の岡田代表の間で行われました。 日本共産党の志位委員長、社民党の福島党首は、質問できませんでした。党首討論は、二〇〇〇年の通常国会から。自民・民主・公明・自由(当時)が合意した「申合せ」は、質問者を「衆議院又は参議院において所属議員十名以上を有する野党会派」としています。これが障害です。日本共産党は、当初から少数政党排除に反対し、少数政党にも質問時間を確保するよう求めています。 出口が見えない岡田氏は、「できるだけ議論を前に進めたい」と、小泉首相答弁の評価できる部分に着目しながら質問しました。前日に、「『反体制』『反自民』の『野党』」からの脱却をはかる立場から、「野党」という言葉を使うのをやめて「政権準備政党」にすると言ったことの具体化とみられます。 実際、岡田氏は、定率減税、日米安保、年金問題を取り上げましたが、いずれの問題でも、進め方をどうするかという角度からの質問でした。小泉自公政権の政治にストップをかけるものではありません。 たとえば、半減だけで一兆七千億円もの国民負担増となる定率減税問題です。岡田氏は、消費や景気への影響を考えなければいけないと指摘し、予算案に合わせた「日切れ法案」扱いするのではなく、「時間をとって慎重に審議すべきだ」と求めました。小泉首相は「よく各党間で協議してほしい」と答え、岡田氏は、評価できる答弁であるように受けとめました。 また、ワシントンで十九日(日本時間二十日未明)に行われた日米安全保障協議委員会の「共同発表」について、岡田氏は「そこそこの線におさまった」と評価しつつ、先制攻撃を言うアメリカが国連決議なしに行動した場合の対応や、情勢認識で米政府と違いがあるのではないかという質問をしました。 小泉首相は「先制攻撃に偏向しているわけではない」とのパウエル前国務長官の言葉を引いて、問題はないようにのべ、国連決議との関連は「今から想定はできない」と答えました。岡田氏は、「共通の戦略目標などと言っても、根本を一致させることが大事だ」と強調。米戦略の是非には立ち入りませんでした。 年金問題で岡田氏は、代表質問への小泉首相の答弁に「評価できるものもある」と言いつつ、年金一元化をするのかどうかを質問しました。小泉首相は、「できれば一元化がのぞましい」と前から言ってきたと答弁。逆に、昨年の自民党・公明党・民主党の「三党合意」で「社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行」うとしていたことをあげて、そのための協議に応じるよう求めました。社会保障全般を考えるなら、消費税増税は民主党案のような「3%ではすまない」とものべています。 テーマとしては、国民のくらしと日本の進路にかかわる重大問題でありながら、国民にとっては、痛みを強いられるだけで、出口の見えない議論になっています。 野党質問が必要日本共産党は、日本を民主的に改革する展望を持ち、自民党政治のあり方を根本から問い続けています。党首討論は、国の基本政策について調査するのが目的だというのですから、このような野党質問こそ必要です。それでこそ、国会が活性化し、国民にわかりやすくなります。 |