2005年2月19日(土)「しんぶん赤旗」

国会論戦でますます明らか
民営化の問題点

郵便局網の維持 保証何もなし


 身近で便利な郵便局がなくなるのではないか。郵政民営化をめぐる国民の不安をよそに、小泉純一郎首相は「今国会で必ず成立させる」と強気ですが、与党内からも反対論が噴出。一方で郵便局サービスの維持が制度上も財政上も保証されないなど、国会の議論を通して、その問題点と矛盾が明らかになっています。


金融機関減る過疎地

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質問する塩川鉄也議員=16日、衆院予算委

 「ユニバーサルサービス(全国一律サービス)を投げ捨て民間任せにすれば、国民サービスの後退は明りょうだ」

 四日の衆院予算委員会。日本共産党の塩川鉄也議員は、過疎地の民間金融機関が最近の六年間で、店舗数を千百も減らしている事実を示し指摘しました。

 政府の民営化基本方針で、現在の郵政公社を四分割した際に、郵貯・簡保会社に全国一律サービスを義務付けていない問題で、「完全に民営化したら、もうからないところに郵便局はできなくなる」(十三日のNHK「日曜討論」での与謝野馨自民党政調会長の発言)ことは与党も認めています。

 この問題で、竹中平蔵郵政民営化担当相の答弁は、過疎地から民間金融機関が撤退したのは郵便局との「対等でない競争」があったから、「民間との対等な競争を」というもの。小泉首相も「競争によって国民が利益を受けられる」と、「競争万能論」に立った無責任な見通ししか示せませんでした。

設置は努力義務だけ

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農村地域の郵便局=長野県中野市

 「過疎地での郵便局網の維持の必要性を認めながら、なぜ設置義務でなく努力義務なのか」。十六日の衆院予算委員会。再び郵政民営化問題を取り上げた塩川議員は、郵便局の配置のあり方について質問しました。現行の郵政公社法では「郵便局をあまねく全国に設置しなければならない」(二〇条)と設置義務が課せられています。

 ところが、政府は「民営化の基本方針」などで「設置義務」規定を「努力義務」と緩やかな義務規定に後退させた上、具体的な設置基準は省令で定めるとしました。法的な拘束力は弱まります。

 竹中担当相が「経営の自由化をはかり、義務付けを軽くするのが、民営化のポイント」と説明したのに対し、塩川氏は「努力義務なら民間会社の経営判断によって郵便局の閉鎖もありうる。過疎地の郵便局を維持する法的な保証にはならない」と指摘しました。

財政の見通しも不明

 全国一律サービスを継続させるため政府は、民営化後に新たに「基金」を設ける構想を示しています。この「基金」は、郵政事業を統括する持ち株会社が設置。郵貯銀行や保険会社の株式売却益などを財源に充てることにしています。

 これは支援措置がなければ郵便局が維持できないことを、政府みずからが認めたものです。

 塩川議員は「基本方針で描いたモデルが破たんしたもの」と指摘し、「基金」でサービスを提供しようとする政府のまやかしを批判。「基金」から支出する金額や運用益の見込みなどについて、政府の試算はあるのかとただしました。

 竹中担当相は「いまその制度を設計しているところ」と答弁。麻生太郎総務相は「(基金が)そのとおりいくかは分からない」とのべるなど、全国一律の郵便サービスの維持が財政的にも保証されないことを示唆しました。


国民は望んでいない

グラフ

 こんな郵政民営化をどれだけの国民が望んでいるのか。

 郵政民営化についての世論調査で、「今国会で成立を」はわずか21%、「今国会にこだわる必要ない」も48%(「毎日」)。現在の郵便局に「特に不便や不満はない」が64・4%と六割を超す一方で、民営化で「利便性が向上する」は20・5%にとどまっています(時事通信)。

 自民党内でも、郵政民営化に反対する議員でつくるグループが、政府に対抗する法案づくりの動きを見せています。

 郵政民営化は、国民の願いでもなく、不要不急の政策なのです。



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