2005年2月17日(木)「しんぶん赤旗」

所得税 突然年7万円

年金生活者 0円から「なぜ」


 「年金支払い額が減っていた。いったいなぜ」「どうして所得税が増えているのか」―。今年初めての公的年金の振り込み(昨年十二月と今年一月の二カ月分)が十五日に行われましたが、年金振込通知書が受給者に届いた十日以降、社会保険庁の年金電話相談センターなどにはこんな疑問や不満の声が相次いで寄せられています。年金支払額が減ったのは、小泉内閣の七兆円の大増税・負担増計画の影響で、年金から天引きされる所得税が増税になったためです。


◆約500万人が増税

 公的年金等控除の縮小と、所得税の老年者控除の廃止(住民税は来年六月実施)が一月から実施されました。その結果、六十五歳以上の年金受給者約二千万人のうち、約五百万人が新たに所得税が課税されたり、増税になったりしました。総額で年二千四百億円の増税です。

 「やはり減っていましたね…」。十五日午前、農協のATM(現金自動預払機)に年金を下ろしにいった東京・西東京市の保谷梅吉さん(76)は、支払額の書き込まれた通帳を見つめました。

 自動車部品の下請け工場で働いた保谷さん。年金は月約十八万六千円で、これまで所得税は非課税でした。ところが今回から月約三千八百円以上の所得税が天引きされ、年金支払額が減っていたのです。年間約四万五千九百円の増税になります。「増税は年二千―三千円程度かなと思っていたのに、こんなにとられるなんてね。びっくり」。困惑した表情です。

◆署名集めなきゃ

 増税は学校給食の調理員だった妻の信子さん(68)にも及び、夫婦には年六万九千円の所得税が新たに課税されます。夫婦で年数回、一泊二万円程度の格安バスツアーにでかけるささやかな楽しみも「もうできないね」と保谷さん。保谷さんの場合、公的年金等控除の縮小で所得額が増えるため国民健康保険料の算定が変わり、二〇〇六年度の国保料の引き上げにはね返ります。

 ところが小泉内閣の大増税路線はこれにとどまりません。今後さらに(1)六十五歳以上で所得百二十五万円以下の住民税非課税措置の廃止(2)所得税・住民税の定率減税の半減・廃止―を計画しています。実施されれば、夫婦ともに住民税が課税され、介護保険料の引き上げに連動します。

 保谷さんも支部役員を務める全日本年金者組合は、「公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止を元に戻し、住民税、国保料、介護保険料へ波及させないこと」などを求めて署名を集めることにしています。「みんなボーッとしていたら大変。署名集めなきゃ」と保谷さんは話しました。


 公的年金等控除の縮小 六十五歳以上の高齢者が受け取る年金額から所得税を計算する場合の控除の最低保障額となる金額を年百四十万円から同百二十万円に引き下げるなどするもの。

 老年者控除の廃止 六十五歳以上で所得が一千万円以下の高齢者について、所得税で年五十万円、住民税で同四十八万円の所得控除を廃止したもの。

 いずれも昨年の通常国会で自民、公明の賛成で可決・成立しました。



もどる
日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ

著作権についてリンクについてメールの扱いについて
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7  TEL03-3403-6111 FAX03-5474-8358 Mail:info@jcp.or.jp